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うぉくのふぉそみつ リターンズ  作者: ムッシュ志乃
9月編
101/185

【天高く 木の葉の如く ゆれなずむ】第7話 戦国大学 その6

第2回戦:面白アテレコバトル


・各候補者には用意した映像に、アテレコをしてもらいます。


お題はこちら。




 ハイジさんがパソコンを操作するとすいすいとパワーポイントのスライドが流れ、お題映像が映る。会議室には、候補者とセコンドと放送部の派遣した最低限の人間以外は誰もいない。学祭のメインとはなんだったのか。いっそこの場に蔓延る閑古鳥を片っ端からふん捕まえてから揚げの屋台でも出した方が盛り上がるんじゃないか?


『東京に怪獣出現』


 ダァ~ン、ダァ~ンという太鼓のような足音を立てて80mはあろうかという黒い巨大な怪獣が東京を蹂躙している。東京駅を踏みつけ、火炎を吐いて東京タワーを破壊。腹の底から縮み上がるような雄たけびを上げる。

 すると、上空から怪獣に似た容姿の銀色のメカ怪獣がホバリングで黒怪獣の前に降り立ち、怪獣とにらみ合う。

 黒怪獣とメカ怪獣、これから二頭が始まる大決闘のゴングを鳴らすように雷鳴がとどろき、映像は終了。


「みんながんばってくださ~い。じゃあ、3分で考えてください」


 ハイジさんも三瀬の元へ戻り、口元を隠して作戦を伝授している。三瀬百合子の孫という謳い文句に偽りがないのであれば筋金入りのお嬢様、お転婆さには欠けるだろう。今回は不利なはずだ。しかし、第2回戦の内容を考えたのがハイジさんであるのならば、こんな内村プロデュースみたいな三瀬に不利になるだけの種目でいいのだろうか? そういえば内村プロデュースではふかわりょうの宿題回という回があった。番組内での企画をふかわだけ予め知らされていて、即興のさまぁ~ずらレギュラー陣vs宿題ふかわだった。結果まではさすがに覚えていないが。とりあえず、ハイジさんは悪巧み最強の矛。何があってもおかしくない。三瀬宿題の可能性も念頭に置かねば。


「良崎、どうする?」


「もう大丈夫よ。ちゃんと考えてるし、もう吹っ切れたから。3人は、わたしが死んだときに骨を拾うことだけを考えておいてください」


 一点の曇りもなく、良崎はスクリーンをみつめ、ネタを考えることに集中している。


「はい3分終了。じゃあ三瀬からどうぞ」


「よろしくお願いします」


 三瀬がマイクの前に立つ。

 あくまでも清楚なお嬢様を貫くつもりのようだが、いつまで持つかな? ハイジさんがどんな策を授けたかわからないが、良崎が本気になった以上、捨て身でかからなければ勝ちはないぞ。私は良崎を見てきたから知っている。GW地獄旅行も対決大学も関越リベンジも、良崎は追いつめられるとすさまじいリアクション芸人としての才能を発揮する。


・東京に怪獣出現

「赤コーナー、日本、海出身!」


・東京駅破壊

「80m 1万トン、黒怪獣ー!」


・東京タワー爆破

「必殺の火炎放射で数々の敵を沈めてきましたチャンピオン黒怪獣が、東京のリングに立ちます」


・メカ怪獣登場

「青コーナー、日本、研究所出身、85m 1万2千トン、メカー怪獣ー!」


・睨み合う二大怪獣

「王座を手に入れるため、今日まで技を磨いてきました」


・雷鳴

「このあとゴングです!」

  終了


 立木文彦ばりの低音ボイスで格闘技紹介風アテレコ!

  


「ご清聴ありがとうございました」


 三瀬がすぅーと頭を下げた。急造とは思えない映像との一致、名女優の孫に恥じぬ滑舌! 私も思わず拍手を送る。ハイジさんがフェアプレイなら、私もフェアプレイだ。素直に相手を讃えよう。


「じゃあ、次は花屋敷」


「は~いっ!」


 元気よく花屋敷が飛び出すが、セコンドのイオングループの表情が浮かない。


・東京に怪獣出現

「やぁ、みんな僕怪獣だよ!」


・東京駅破壊

「大きな建物も一踏みさ!」


・東京タワー爆破

「とぉ~っても強いんだぜ!」


・メカ怪獣登場

「ワタシハ、メカカイジュウデス。ハカイヲ、ヤメナサイ」


・睨み合う二大怪獣

「なんだ、お前は! 邪魔するな!」


・雷鳴

「もぉ~、ケンカはやめなさい!」

  終了。


「個人的には0ポイーンッ!」


 ハイジさんがプスプスと笑いを噛み殺しながら言うと花屋敷は


「ネタが被ったら内村さんが拾ってくれるんじゃないですか~!?」


 とあくまでもアイドル的に反論した。ここで私は理解した。

 三瀬も花屋敷も、最初から良崎潰しにかかっていたのだ。第1回戦で良崎のプロレス好きが露呈した。ついでにバカであることも。ならば、良崎(バカ)が二大怪獣が戦う映像でプロレス風にアテレコする可能性を三瀬、花屋敷両首脳陣は容易に想像できただろう。三瀬の格闘技風アテレコの後のイオングループの表情も花屋敷のダメっぷりも、「ネタが被った」の言葉ですべて合点がいく。


「良崎」


「大丈夫だってば」


 私達を心配を払うように手を振り、良崎はマイクに威風堂々と向かった。


「はい、じゃあリーベルトさん。スタート」


・東京に怪獣出現!

「うわぁ~キヨだ! 清原だ、ひぇー、怖ぇ~」


・東京駅破壊

「ぉう、この野郎、この野郎、おっぺしゃんおっぺしゃんおっぺしゃん! 蹴りいれてやる!」


・東京タワー爆破

「ここで好プレー! おぅらこんにゃろぅ! 決まって一発ぅ~ホォームラン!」


・メカ怪獣登場

「さぁ、助っ人外国人登場~!!」


・睨み合う二大怪獣

「ちっくしょぉ、最近抑えられってからぁ」「今日も三振とってやるぜぇ!」


・雷鳴

「CMの後は珍プレー集!」

  終了


 プロレスの心配全くいらなかったな。

 懐かしのプロ野球珍プレー好プレー風アテレコ! みのもんたをもう一度…。


「あっはっは清原って言ったなお前! てっきりプロレスで来ると思ってたよ」


「最近、父が撮りだめてた珍プレー好プレーを観たんですよ。野球は見ないのに珍プレー好プレーは好きみたいで」

 

 アットホームな雰囲気になってさっきよりは居心地がいいのだが、これだといつもと一緒じゃないか!


「はい、じゃあこの第二回戦の結果は明日発表。今日はお疲れ様でした、今からでも学祭を楽しんできな。なんだかさぁ、これは理不尽だもんな。立候補した奴は注目もされないうえに、会議室に監禁だもんなぁ」


 企画真向否定!


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