長い夜の終わり
「よし。ついたよ桜哉君」
そう言って放心状態の俺に話しかける羽無。少ししてから立ち上がり今いる場所を確認する。一軒家の扉の前にいるのは分かった。分かった時点で何個か疑問が出てきた。羽無に質問してみる。
「なぁ羽無」
「空でいいよ」
「ここって俺の家か?」
「スルーされた!?」
「答えろよ」
「そ、そうだけど」
スルーされて悲しかったのか少ししょんぼりしながら答える羽無。じゃあもう一個質問をしてみる。
「なんで俺の家知ってんの?」
「調べた」グッ!
親指たてながら笑う羽無。こいつの組織にはプライバシーというものは無いのか。
半ば呆れながら羽無を家に上げる。リビングで待ってもらい俺は二階にある自分の部屋に戻って家着に着替える。ジャージでリビングに向かいドアを開いた。すると羽無が喋り出した。
「きたきた。それじゃあ話を始めようか」
「じゃあそこ座りなよ」
「分かった。有難う♪」
そう言ってソファに座る羽無。俺は木製の椅子に腰をおろす。
「じゃあ話すね。でもその前に桜哉君が能力を持っている事を分からせないといけないね」
「そうだな。自分に能力があるなんて簡単には信用できないな」
「一応今日能力を発動してるんだよね」
「そうなのか?全く実感が無かったんだが」
「だろうね。桜哉君の能力は簡単に言えば’’相手の能力を一時的に使える’’んだよね」
「は?」
すげぇチート能力じゃねぇか。アニメの主人公にありそうな卑怯な能力だな。そんなの持ってるのか俺は。
「無鬼に蹴られた傷、すぐに治ったでしょ?あれは僕の能力のなんだよね」
「お前って治癒能力かなんかなの?」
「僕のは身体能力が普通の人の5倍ぐらいになる能力なんだ。だからその能力のお陰でキズの治りとかも早くなるわけ。」
「なるほど。それでその能力を俺が一時的に使えるようになったから傷がすぐ治った、というわけか」
笑顔で頷く羽無。そう言う事なら少し納得がいくな。だがまだあまり信用出来ない。昔からあまり人を信用しないからな。
俺が黙って考え事をしていると羽無が何かを取り出した。取り出したのはスマートフォンだった。なにか調べものでもしてるのだろう。それはおいといてまずは一度状況整理からだ。
家に見知らぬ女の子がいる。
.........異常だ!
ここで回想終わり。一時間前まで遡って考えたがやっぱり良く分からないな。今目の前にいる女の子は俺の常識じゃあ追いつけない子なんだろうな。
無言のまま考え事をしているとドアが開いた。桜哉と空は同時にドアを開いた人物をみる。そこには上下ジャージで目の下にくまができている女の子、紅 桜がいた。
「兄ちゃんジュース買ってき............誰?そこの人」
「あぁ、さっき助けられたんだ。色付きの羽無 空って言うんだってよ」
えへへ、と少し照れる空。それを聞いて驚いたように質問をする桜。
「な、なんで色付きが家にいるの?」
「なんか俺に能力があるらしいんだよ。」
「そうなんですよ!そこで桜哉君にCOLORに入って欲しいんですよ!」
「え、そんな急にい「ダメだよ」
話を途中で止める桜。桜哉は少し驚いたが桜の話を聞くために耳を傾けた。
「あんな危険な場所に兄ちゃんが行く理由はない」
(.........ん?まてよ。’’危険な場所’’?)
そこで桜哉が切り出した。
「なんでテレビでもやってない情報を桜は知ってるんだ?一応言っておくがネットに載ってたなんて嘘は言うなよ?」
そう言って質問をする桜哉。桜はやってしまったと言わんばかりの表情をしながら黙り込む。そして少ししてから喋り出した。
「それは............私も、色付きの一員だから」
急すぎる発言に一瞬思考がストップする桜哉。何故か空も驚いている。
(こいつも知らなかったのか.........)
驚きを隠せない二人を他所に話を続ける桜。
「兄ちゃんには死んで欲しくない。だから色付きには入らないで欲しい」
そう言って下を向く桜。
(桜の言う事にはあまり逆らいたくないが今回ばかりは仕方ないよな。許してくれ、桜)
「桜がそこまで思ってくれてるのは兄として嬉しいんだけど、それは俺も同じことだ。桜には死んで欲しくない。だから色付きを抜け.........」
そこで言葉を止める。色んな思いが頭の中で駆け巡る。そして出た答えを口にする。
「だから......俺は色付きに入る。そして桜を守る。例えどんなに弱くても」
「兄ちゃん.........」
「お前のことだ。なにかの理由で色付きにいるんだろ?ならそれは止めない。だけど守る事ぐらいはさせてくれ。いいだろ?」
「......うん!」
少し泣きなりながら桜哉に抱きつく桜。その光景を何が起きているか分かっていない空がぼーとしながら見ている。そんな空を見て桜哉が喋り出す。
「俺、色付きに入るから。能力の事はまだ疑心暗鬼だが.........」
「う、うん。わかったよ。それじゃあ報告しておくね」
そういってポケットからスマートフォンを取り出して何かを打ち込んでいく空。
(とりあえず色付きに入ってしまったけど、良いよな。桜が色付きなのには驚いたが)
そんな事を考えながら桜の頭を撫でてやる。嬉しいのか笑顔でこっちを見てくる。少し癒された。
「あのぉ」
報告が終わったのかスマートフォンをポケットに直しながら声を掛けてくる空。
それに妹を撫でながら答える兄。
「どうした?」
「今日からこの家に住まわせてもらっても良いですか?」
「...............へ?」
「だから、この家に住まわせてもらっても良いですか?」
「な、な、な、なんで?」
突然の事過ぎていつにも無くてんパっている桜哉。何故こんなにもてんパっているのか本人も分かっていない。
一応理由を聞くと空は説明してくれた。
「それはですねぇ......僕は今住む場所が無いんですよ」
「............」
「で、今住む場所探してるんですけど.........ダメですか?」
「良いよ」
そう言ったのは桜哉、ではなく桜だった。許可をもらえて嬉しいのか飛び跳ねて喜ぶ空と何故許可を出したのかを聞く桜哉。
その理由が
「断る理由が特に無かったから」
と言われてもう少し男の気持ちを分かってもらいたいと思った桜哉であった。
そんなドタバタを終えた所で三人は寝ることにした。桜哉は自分の部屋で、桜も自分の部屋で、そして空はと言うと.........
「なんかゴメンね」
「別にいいよ。謝らなくて。こっちが住まわせるって言ったんだから」
桜哉の部屋で寝ることになった。何故かと言うと桜が空に「部屋に入るな」と言って部屋に戻っていったので仕方なく桜哉の部屋で寝ることになった。
(リビングは寒いし他にちゃんとした部屋ないからな。仕方ない)
こればっかりはどうにもならないと思いベットに入る桜哉。空はベットの横で布団に寝ることになった。
電気を消して本格的に寝ようとしたら空から声が掛かる。
「ねぇ桜哉君」
「桜哉でいいよ」
「......分かった」
「で?どうかした?」
「うん......今日は有難う。これから宜しくね」
「おう。こちらこそ宜しくな」
「うん.........それじゃあ、お休みなさい」
「おう、お休み」
そう言って眠りに落ちる二人。
その様子をドアの前で聞いていた桜。
(もう少し面白いことが起きると思ったのに.........残念だなぁ。もし起きそうになったら止めに入るけどね)
そう思い自分の部屋に戻る桜。表情は楽しげだった。
そして長く感じた夜は幕を降ろした。
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