高校生前日の初体験
羽無 空が喋り出した。
「無鬼に対抗できる色付き。その色付きって、どんどん無鬼に殺されちゃってるんだよねぇ」
「え?」
唐突な話過ぎてどうリアクションを取ればいいのか全く分からない。それっていわゆる人類ピンチってやつじゃねぇか。まじかよ。
「え?じゃないよぉ。これはホントの事なんだよ」
「......それじゃあ人類は絶滅するのか?」
「それはないね。実際には殺されているのは能力を持っていない色付きのメンバーだから。」
「ちょっと待て。そもそも色付きって能力を持っていない人もいるのか?能力を持った人の集まりだって聞いてたけど」
「その情報は嘘だね。能力を持っていない人の方が数は多いし、実際に能力を持った人は6人ぐらいだから」
「............」
「だから人類はまだ安心して生きていけるよ」
「........................」
少し整理しよう。色付きのメンバーが無鬼に次々と殺されている。でもそれは色付きの能力者ではない人達が殺されているらしい。結構すごい話を聞いたのかもしれないな。俺たちの生活の裏でそんなことが起きていたなんて知らなかった。
少し気持ちが落ち込む。そんな時に羽無は驚く話を話し出した。
「でもやっぱりこれ以上被害は出したくない。と言っても人数が足りない。そこで能力者を探すことにしたんだ。結構調べた。そして見つけた。君を」
「え?お、俺?」
うん、と行って頷く羽無。またも唐突な話で頭が追いついていない。俺が能力者?そんな訳あるかよ。今まで普通の日常を送ってきたんだぞ。そしてこれからも普通の高校生活をおくるつもりなんだぞ?それなのに俺が能力者だと?冗談も程々にして欲しいぜ。
「まぁいいや。ここで長話もなんだし、場所を移動しようか」
「.........え?わ、わかった」
「んじゃあ捕まって」
そう言って手を出す羽無。少し戸惑いながら手を掴む。手ちっさいな、女子だからか。
そんなことを思っていると羽無が
「よし。行くよ!」
そう言って踏み込んだ。
嫌な予感しかしない。
「ちょ、ちょっと待」
「ゴーーー!!」
思いっきり上にジャンプした。そして、民家の屋根に降りた。そっからは有り得ない速度で家の屋根を飛びながらどこかに向かっている羽無。
「ぎゃあああああああ!!??」
その間俺は体感したことのない感覚に圧倒されていた。そして終始叫んでいた。