六話 汚されて尚、誓う
「なぁ君。なぁ芝田一。目の前で自分の愛しい人が犯されているのを見るのは、一体どういう気分だい?僕に教えてくれないか?」
織本は、本宮の身体中を撫で回している。
「なぁ、どんな気分なんだい?最愛の人が汚されていくのは」
「やめろ、もうやめてくれ、お願いだ。助けてやってくれ」
「助けてだって?あっはは!おかしなことを言うもんだね。“僕は”僕の愛しい“彼女”を愛している最中なんだよ?君のことなんて知ったこっちゃないよ」
首筋を舐める。
「おい!ふざけるな!お前がやっているのはただの自己満足じゃないか!」
頬にキスをする。
「確かにそうだよ。“今は“ね」
耳に息を吹きかけた。彼女は無反応だ。
「今はだと?これからもずっとだ。咲がお前に心を許すはずが無い。お前はそうやって自己満足を続いていくだけだ」
首から下へ下へと指を這わせていく。
「君のいけないところはその決めつけだね。一体どうして君に、彼女の想いがわかると言うんだい?」
絶句。芝田は返す言葉を見つけられない。
「答えられないのかい?不思議なもんだね。君は彼女のことをなんでもわかると思っていたのかい?思い上がりも甚だしいね」
「だ…だとしてもお前よりはマシだ。きっとずっとマシだ。お前は彼女の想いなど微塵も考えてもいないじゃないか。そんな奴が偉そうに語るな」
「あっはは!威勢が良いね。縛られて、蓑虫みたいにされて転がされてるってのにさ。何もできないってのにさ。弱い者ほどよく吠えるってね。確かにそうなんだね。あっははは」
無力感が、惨めな思いを加速させる。蓑虫みたいになった彼は、何もできない自分に憤慨していた。目の前で起きていることに、彼女が汚されているのに、何もできない。無力。無力を実感していた。
クソッ!クソッ!なんでなんだ。なんで一体こんなことになってしまったんだ。
織本が全ての行為を終えた後、わめき散らしていた芝田に蹴りを入れた。何度も何度も。
「やめろ!やめてくれ!」
激痛が波のように何度も何度も押し寄せる。
「うるさいんだよ、君。静かにしなよ。君が口を開いて良いのは、僕がそれを許している時だけだ。それができないのならば死ね。僕は君なんてどうなったって良いと思ってるんだ。それを忘れないようにね」
言ってる間もずっと蹴っていた。芝田の意識が遠のいていく。
「やめ…て…。やめてください」
本宮が口を開いた。それを見て織本が笑う。
「あっはは!はははは!!遂に口を開いたね?ようやく開いたね!あっははははは!愉快だね?はははっ!今日は良い日だったよ!素晴らしい1日だった!じゃあね、また明日」
そう言って、部屋を出て行った。しばらく、笑い声が響いていた。本宮の顔が歪んでいる。
「咲…?」
「一さん。もう、私ダメかもしれない。もう…」
彼女は泣き出してしまった。
「咲。そんなこと言うんじゃない。ダメなものか。ダメかどうかはやってみなくちゃ分からない。そうだ。ここから逃げ出したら、俺と結婚してくれ。良いだろう?考えていたより一年ばかり早くなってしまったが」
「うん…うん、わかった。絶対だよ?」
「もちろんだ。絶対にしよう。必ず幸せになろう」
幸せ。それを2人で育んでいこう。彼らはそう、誓い合った。
挿し絵の貼り方分かんなくて、四苦八苦してやっと貼ったら画像デカいです
少し前に来た人は文の途中にただURLが貼ってある光景を見たことでしょう。恥ずかしいです。