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俺と精霊と無限世界<インフィニティア>   作者: 姫神 由莉
第1章 もう一つの並行世界<アナザーワールド>
4/6

 もう一つの並行世界にて……

 ―――――――――

 ―――――

 ―――


 っとここはどこだろう?

 あの後俺たちは神殿みたいな場所に辿り着いた。何というか……妙に広い上、何にも無い。あるのは壁にある幾何学(きかがく)模様の描かれた七つの扉だけだ。

「えっと……ここは?」

 俺は謎の少女『(つき)(がみ)エレナ』に訊いてみる。するとエレナは真剣な表情で答えた。

「ここがさっき私が言った『世界の狭間』よ。あの扉からいろんな世界へ行けるの」

 となると後ろにあるのは俺たちのいた世界って事になるわけだな。じゃああの扉はどこに繋がっているんだ?

「この『世界の狭間』にはどんな世界があるんだ?」

 扉があと六つあるんだからあれは何?という疑問が生まれてもおかしくは無いだろう。

「まず左から言うと『魔法世界』さっきまでいた場所ね。次に通称『アナザーワールド』魔法世界のもう一つの世界ね。言わばもう一つの平行世界と言ったところかしら。あっちは『精霊界』言わなくてもわかるわね?後は『妖精界』『魔界』『天界』かしら」

 あれ?後一つあるけど……。

「もう一つはよくわからないの。どんな世界とか」

 なるほろ、RPG(ロールプレイングゲーム)で言うところの隠しダンジョンみたいなもんか。そういうの凄く行ってみたくなるな―――ゲーマーとして。わかるだろ?こういうの。

 まぁいいか。えっと俺たちの世界『魔法世界』って言ったっけ?というかそんな風に呼ばれていたのか……。意外と普通だな・・・じゃなかった!

 エレナは例の世界『アナザーワールド』だっけか?―――――その扉まで歩き寄り、扉の前で立ち止まる。その紅い双眸で俺たちを見回す。

「さて、何でここに来てもらった理由、それはね――――危険なの」

「危険、って何がだよ……」

 なんとなく予想がつくけど、俺は訊いてみる。

 返って来たのは予想通りの言葉だった。

「最近この七つの世界は不安定なの……。詳しくは私も知らないけど、まずこれから行くアナザーワールドでは『時空の歪み』が発生したらしいの」

 はぁっ?『時空の歪み』ってなんだよ……!?そもそもそんな曖昧でいいのか?

 俺はエレナの元へ歩み寄り、たった今いだいた疑問を投げかける。

「んで、その『時空の歪み』って具体的にどんな事が起こるんだ?」

 エレナは俺の方に振り返り、真剣な表情になった。

「あまりわからないんだけど、時空の裂け目が現れ、そこから大量の魔物が出てきたりするみたいなの」

「それってヤバイんじゃないか」

「うん。だから私たちでその『もう一つの並行世界アナザーワールド』へ向かい、その原因を調べ、解決しに行くというわけなの」

 原因か。調べるったって何をどのように調べるのだろうか。彼女に訊くという方法があるが、あまり疑問を投げかけて混乱しないようにしないと。

「じゃあ行くわよ!」

 エレナは『もう一つの並行世界アナザーワールド』に繋がっていると思われるゲートの前まで歩き、こちらに振り返る。

 きっとこのゲートくぐったら帰ってこれない。そんな気がする。

 それ以前にこの謎の少女の言っている事は本当の事なのだろうか。別に信じていない訳ではないんだけど、こんな話、ぶっ飛んでいるとしか思えない。

「……ん?どうかした?」

 そんな俺の顔をエレナが覗きこんできた。

 うわぁ、近くで見るとほんっとに可愛い顔立ちをしているな。女の子特有のなんとも言えないいい香りが俺の鼻をくすぐる。……頭が変になりそうだったので3歩後ろに下がった。

「その顔は疑っているね?んまぁそれも仕方ないのかもね。だってこの世界の事を知っているのはそこに居る高原唯たかはらゆいちゃんぐらいだもの」

「………」

 それを聞いて絶句する俺と紅莉あかり。唯がこの世界を知っている?どういうことだ。

 俺は唯に視線を向ける。唯は真剣な眼差しでエレナを見据えていた。そんな唯に今のを訊いてみた。

「エ、エレナが言っている事は本当なのか?」

 すると唯は俺の方に歩み寄りながら答えてくれた。

「うん。別に隠すつもりは無かったんだよ……。私はただ『七つの世界セブンスワールド』の事情に悠真ゆうま達を巻き込みたくなかったんだ」

「唯・・・」

「でもこうなったら仕方ないよ。ちなみにエレナの言ったことは間違っていないと思うよ。だから悠真、紅莉ちゃん。一緒に解決しよ!!」

 唯……、そういうことならやるしかないようだな。ってなんか忘れている奴がいたような・・・。

まっいっか。

「エレナ、行こうっ!!そしてさっさと終わらせるぞ」

「そうね。みんな準備はいい?」

 俺と唯、紅莉、レスティアは強く頷いた。

 なんか凄く嫌な予感がする中、俺たちは『もう一つの並行世界アナザーワールド』へと繋がるゲートへと飛び込んでいった―――――


 

「―――――っと。着いたのか?」

「ええ、ここがさっき話した『もう一つの並行世界アナザーワールド』よ」

 俺たちはゲートくぐり、出てきた場所はごく普通の街中だった。なんかどこか見たことあるなと思ったが、ここは思いっきり俺ん家の真ん前だった。

「・・・本当にここが『もう一つの並行世界アナザーワールド』なのか?」

「何度言わせるの。そうだって言ってるんだけど・・・」

「んな馬鹿なっ!?ここ俺ん家の前だぞっっ!?」

 信じられるかッ!?『もう一つの並行世界アナザーワールド』が俺たちと同じ世界なんて!?

「―――ッ!?」

 突然紅莉が息を詰まらせた。

「―――?どうした紅莉」

「…あれ……何?」

 振るえる声で言いながらとある方角に指を指した。

「「「「…………」」」」

 俺、唯、エレナ、レスティアは絶句した。だってそこにはもの凄くでかい魔物が徘徊はいかいしてるんだもん!なんだよ・・・あれ。

「あれって―――ゴーレム」

「あれがゴーレムぅ!?」

 んなまさか!俺の知っているゴーレムは約2mくらいのはずだぞ!?なのにあれは東京タワーくらいは余裕に超しているぞ。

 あの超巨大ゴーレムを見て、エレナがとんでもない事を口走った。

「まずはあいつがターゲットね…」

「んなっ!?」

「そんな……」

「ふ、ふざけないでよ!?」

「……強そう」

 いやいやエレナさん?ちょっとそうかな?と思ったけどそんな俺の思考通りな事言わんでくださいよ!?……あんなの、勝てる気がしないんだけど……。

「しかたないでしょ。時空の裂け目から現れた魔物があれなんだから」

「何でわかるの?」

 唯が問う。

「あいつからドス黒いオーラを放っているから」

「い、言われてみれば嫌なオーラ放ってる……」

 感心するところじゃないぞ、唯……。

 いやでも本当に放ってるな。ここでもわかるくらい重圧プレッシャーを感じる。これほどだと絶対勝てないって。

「―――んで、どうすんですか」

 投げやり気味に言ってやる。するとエレナはゴーレムを睨んだまま俺たちに言い放つ。

「それはその時考える」

「行き会ったりばったりかよっ!?」

 いいのか!?そんないいかげんで!?まだあのゴーレムは暴れていないと言えど危険なはずだ。そんな奴を「それはその時考える」ぅ?いやいや!!それじゃあ遅い気が…。

「いいの。まだ大丈夫だから」

「唯までっ!?」

 ああもう・・・わかりましたよ!

「んで。これからどうすんだよ?」

 未だにゴーレムの方を見続けているエレナに問いかけてみる。……そんな気になるんじゃ今すぐにでも討伐とうばつしに行けばいいのに……。

「とりあえずこっちの悠真に会わないといけないから」

「―――こっちの…俺……?」

「うん」

 なんか淡々と言ってるがよくよく聞いてみるととんでもないこと言ってるんだよね……この金髪紅眼少女。

 しかしこっちの俺ってどんなだろう?何か能力使えるのかな?

 いろいろ考えてみるけど全然全く微塵も思いつかない。

 とにかく会って確かめなくてはな。

 エレナは赤いミニスカートを揺らしながら俺の家に入っていった。

 俺たちはエレナの後に続いて、「もう一つの並行世界アナザーワールド」の俺の家に突入していった・・・


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