真夜中のドライブ
この話は僕が実際に体験した実話である。
しかし、この先を読むかどうかは慎重に決めてほしい。
僕がそうだったように夜眠ることができなくなるかもしれない。
半端な気持ちで読まないでもらいたい。
何があっても僕は責任は持てない。
その日僕は夜中に車を走らせていた。
時刻は深夜二時。
その日はたまたま仕事が重なってしまい、こんな時間に帰ることになってしまったのだ。
車を走らせていると街灯の下に人影を見つけた。
顔はよく見えないが、長い黒髪で白い和服姿の女性だ。
僕は車を停め、運転席側の窓を開けて女性に話しかける。
「ヘイ彼女!こんな時間に何してるの?良かったら送ってくぜ?」
まぁ声をかけたところで初対面の男の車に乗る女の子なんていないだろうな、なんてがっかりしていると彼女は無言のまま僕の車の後部座席に乗り込んだ。
え?
やった!もしやお持ち帰りしちゃえる?
僕は喜びを胸にしまい、あくまでクールを装いながらルームミラーで彼女の様子を見る。
恥ずかしがり屋なのか顔は下を向いて俯いたままなので表情は読めないが、この世のものとは思えない程透き通った白い肌である。
一瞬本当に背景が透けて見えてしまう程に透明感のある女性だ。
頭に白い三角の布を着けているけど、最近流行ってるのかな?
女の子のファッションに疎い僕にはそのセンスは理解できない。
さすがにはんぺんをおでこに付けてるわけじゃないよな?
「あの〜どこまで送って行けばいいかな?てゆうか連絡先とか聞いちゃってもいい?」
彼女は何も答えない。
本当にシャイな子だな。
「なんか話してよ〜!まるで最初から車の中に僕一人しかいないみたいじゃん!」
すると彼女はぼそぼそと喋りだした。
「ぅう…うらめしい…」
「うらめし?飯?お腹空いてるの?じゃあ僕の家でご飯でも食べよう!ご馳走するよ!ねっ!そうしよう!決定!」
よっしゃー!
人生初の女の子のお持ち帰りだ!
まさか街灯の下で女の子をドライブスルーできるなんて思ってもみなかった!
街灯の下で捕まえられるのはカブトムシかクワガタくらいのもんかと思ってたけど女の子をゲットできるなんて…
神様ありがとう!
しかし家に着いてルームミラーを見ると後部座席に彼女の姿はなかった。
え?
僕は戸惑いながら運転席から降りて後部座席を確認する。
彼女が座っていた場所がビショビショに濡れていた。
信じられない。
足がガクガク震える。
言葉にならない。
僕は思った。
なんていやらしい女の子なんだ!
その日僕は興奮して寝付けなかった。