襲撃 巨人と守護と戦闘
またしばらくして、二人がナツの村に遊びに来た時。村は壊滅的な状態になっていた。
突然地響きが聞こえてきたと思えば、ジャイアントが村で暴れ、この惨状を作り出したらしい。
忌み子の所為だ、と呟いた村人を叩きつつナツを探す二人。
ジャイアントが暴れ狂う中、無事を祈って駆け抜けた。
「まさかの襲撃だな」
「ドラゴンと忌み子が揃ってる僕達の方に先に来ると思ったのにね」
「潰しやすいところから回ってるのかもしれん……とにかく、急ごう」
「いざとなったら、戦うしかないね…」
「そんなことはないのが望ましいけどな。最近仲良かったみたいだし?」
「っ…コウ、今は真面目に……」
「暗くなったまま探すよりはいいだろ……いたぞ!」
二人が見つけたのは、倒壊した家屋に足を挟まれ身動きの取れなくなったナツだった。
迫りくるジャイアントに絶望し、泣き叫ぶ姿は目を背けたくなる。
それでも全速力で向かわねば二人は全力を振り絞って駆ける。
「「まに……あえぇええええ!!」」
叫ぶ二人、ジャイアントの平手が風を切り、ナツの倒れていた場所に叩きつけられた。
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目の前にせまる壁のような手、振り下ろされた時に発生した風が頬を叩き、ナツはもう駄目だと目を閉じる。
ズシンと音がして、あぁ自分は死んだんだ、と思った。
……まだ足が痛む、ずきりとした痛みに少女が目を開くと、愛する少年が頭上の壁を支えていた。
「なん、で……?」
「君が僕の目の前で危ない目にあってる。それだけで十分でしょ?」
「そんなことしてたら、すぐに潰されちゃうわ!早く逃げて!!」
逃げられないのに、こちらの方を心配するナツを見てツバサは苦笑した。
心配ないというように目線だけをナツの後ろにやり、壁を押し返す。
「僕はヴァンパイアとスプリガンの血が流れてる忌み子だから、そこらの人間よりも頑丈なんだ、それに」
小さく大地が揺れたと思うと、唐突に吹き飛ばされるジャイアント。
代わりに現れたのは虹色の龍。二人を守るように全身でジャイアントの行く先をふさぐ。
その隙にツバサが瓦礫を退け、ナツを抱えてその場を離れた。
「僕達は一人じゃないから」
「コウ……ツバサ……」
「さ、離れてて。ここは僕らがどうにかするから」
少女を避難していた村人達の所に降ろし、コウの下へと駆け戻る。
行かないでと叫ぶ愛する少女の声を背に、少しだけ目じりを熱くしながら。