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虹と翼と  作者: 零式章
第一幕人間界にて契約を
8/52

襲撃 巨人と守護と戦闘

またしばらくして、二人がナツの村に遊びに来た時。村は壊滅的な状態になっていた。

突然地響きが聞こえてきたと思えば、ジャイアントが村で暴れ、この惨状を作り出したらしい。

忌み子の所為だ、と呟いた村人を叩きつつナツを探す二人。

ジャイアントが暴れ狂う中、無事を祈って駆け抜けた。


「まさかの襲撃だな」

「ドラゴンと忌み子が揃ってる僕達の方に先に来ると思ったのにね」

「潰しやすいところから回ってるのかもしれん……とにかく、急ごう」

「いざとなったら、戦うしかないね…」

「そんなことはないのが望ましいけどな。最近仲良かったみたいだし?」

「っ…コウ、今は真面目に……」

「暗くなったまま探すよりはいいだろ……いたぞ!」


二人が見つけたのは、倒壊した家屋に足を挟まれ身動きの取れなくなったナツだった。

迫りくるジャイアントに絶望し、泣き叫ぶ姿は目を背けたくなる。

それでも全速力で向かわねば二人は全力を振り絞って駆ける。


「「まに……あえぇええええ!!」」


叫ぶ二人、ジャイアントの平手が風を切り、ナツの倒れていた場所に叩きつけられた。



目の前にせまる壁のような手、振り下ろされた時に発生した風が頬を叩き、ナツはもう駄目だと目を閉じる。

ズシンと音がして、あぁ自分は死んだんだ、と思った。

……まだ足が痛む、ずきりとした痛みに少女が目を開くと、愛する少年が頭上の壁を支えていた。


「なん、で……?」

「君が僕の目の前で危ない目にあってる。それだけで十分でしょ?」

「そんなことしてたら、すぐに潰されちゃうわ!早く逃げて!!」


逃げられないのに、こちらの方を心配するナツを見てツバサは苦笑した。

心配ないというように目線だけをナツの後ろにやり、壁を押し返す。


「僕はヴァンパイアとスプリガンの血が流れてる忌み子だから、そこらの人間よりも頑丈なんだ、それに」


小さく大地が揺れたと思うと、唐突に吹き飛ばされるジャイアント。

代わりに現れたのは虹色の龍。二人を守るように全身でジャイアントの行く先をふさぐ。

その隙にツバサが瓦礫を退け、ナツを抱えてその場を離れた。


「僕達は一人じゃないから」

「コウ……ツバサ……」

「さ、離れてて。ここは僕らがどうにかするから」


少女を避難していた村人達の所に降ろし、コウの下へと駆け戻る。

行かないでと叫ぶ愛する少女(ナツ)の声を背に、少しだけ目じりを熱くしながら。

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