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虹と翼と  作者: 零式章
2-5 無龍 リュウガ
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完全復活、むしろパワーアップ 覚醒と回復と今回のまとめ

…なんだろう、凄く眩しい。今まで沈んでいた水の底から水面へと導く誰かの声が僕を引っ張り上げていく。

今まで見てたのは、たぶん僕の過去の記憶。異空間に飲み込まれて忘れていた僕の出自の一部なのかもしれない。また誰かが呼ぶ声がする…みんなが、僕を呼んでる…水面に手を伸ばし光に手が届きそうになったとき、僕は目を覚ました。


「……ここは…?」

「よかった、ツバサ、目、覚ました…!」

「おはよ、もう身体は大丈夫?変な夢とか見てない?」

「よく飛龍王を乗り越えたな、お帰り相棒」

「心配かけすぎじゃぞ、気を付けいよ」

「よかったっす、ほんとによかったっすよー!」

「おはようございます、気分は大丈夫ですか?」

「心配してくれてありがとう、でも多いよ!起きた途端ベッドをこんな人数で囲まれてたらビビるよ!?」


何で九十九種勢ぞろいしてるのさ、ちょっと寝てた、だけ…あれ?

飛龍達と戦って途中で気を失って…何で僕ここにいるのさ。


「小僧が目を冷ましたか」

「あ、フレア…ってなんで町にいるのさ、大騒ぎになるんじゃない?」


というか窓から顔突っ込んでる光景ってすごくシュールだよフレア。

日常のオブジェにふさわしくない飛龍の頭が窓から出てるってなにこの悪夢。


「そんじゃ、ツバサが丸二日寝てる間に集めた情報と今回の顛末をまとめるとしようか」

「え、僕そんなに寝てたの?!」

「だから、皆、すごく心配、した」



さて、では要点をまとめていくとしよう。

まずまとめるのは今回の…事件?流れを知ってしまえばこれは事件というわけでもなく、ただ単に勘違いと飛龍の振舞いに問題があっただけだ。

元々サキが飛龍達の巣にいたのは攫われたからではなくフレアの治療の為、攫われたと勘違いしたのは迎えに来た飛龍がコタロウを挑発してそれっぽく振る舞ってしまったから…何ともはた迷惑な話だね。


「ツバサ、俺は後で件の飛龍を殴りにいく」

「お供するよ」

「流石に今回は普段の行いが原因ですからね。私は止めませんよ」


そしてサキが疲れていた原因は先にも述べたように治療、特に今回は大掛かりな魔術を使ったらしく限界ぎりぎりまで魔力を使ってしまったから。更にいうならあの毒性のある飛龍の谷で疲弊してなお毒が効かなかったのはフレアが障壁で庇っていたから。


…そしてわざと僕らと戦うように仕向けたのはサキがこの村で悪者にされないため。


件の飛龍のように人間に対してちょっかいを出しては被害を出す輩はいくらでもいる、フレアの様な無駄な被害を嫌う飛龍のほうが異端といえば異端なのかもしれないが、村の人間にとってはちょっかいを出してくる飛龍の姿が真実。その治療をするために貴重な魔術の才能を使ってるというのなら村人もいい顔はしないだろう。だから攫われて強制されている、というスタンスが大事だった。


「真面目で、いい人(?)、なのはわかるけど、他にやり方、なかったの、かなぁ」

「順調に強くなっておるしわしらにとって丸々損だったわけではないが、少し危なかったのぅ」


…さて、あと違和感があったところだけどこれは自己解決してる。フレアが僕達に対して言った「三人とも龍の端くれ」。僕は契約していたからかと思ったけどリュウガを取り込んでるから僕自身もやろうと思えば龍の姿になれる…ってことらしい、でも…。


「もう少し僕は僕のまま頑張ってみるよ、リュウちゃん」


『あぁ、頑張れ、マイマスター』



「それはそれとして再び飛龍の巣でございます」

「有言実行だな」

「「はやいはやい!!」」

「鉄は熱いうちに打て、恨みは冷めぬうちに晴らせ、だよ」


とはいっても大人しくやられてくれる飛龍達じゃない。もちろんフレアだってお仕置きとはいえ多数の飛龍を巻き込むこの状況、信条とは別に王として見逃せるわけがなく全面対決に発展する。


「クロガネ、リョク、ユカリも巻き込まれないように下がりますよ」

「そうじゃの、わしはもともと防御力が低い方じゃし」

「僕も、今のツバサ、攻撃、巻き込まれたら、勝てる気、しない」

「転ばぬ先のなんとやら、っすね」


どうせ一発で終わるからそんなに気を付けなくてもいいのにねぇ、と呟いて十指にはめた指輪を打ち鳴らす。眠っていたリュウガが起きた分、ハクオウと契約した分の強化は寝込んでいた丸二日の間になじんだらしい、荒れ狂うような魔力の渦が体に漲り、今か今かと魔法の発動を待っている。思い描くのは巨大な手、

今回の事件を誘発させた奴も、それを庇って全面対決にする奴も、皆まとめて…………


「反省しなさぁあああああああああい!!」


魔力を込めた右拳を思いっきり大地に向けて振り下ろす。それと同期するように空中へと出現した魔力塊の拳が、容赦なく龍の谷全域を押しつぶすかのように振り下ろされた。

魔力の嵐が通り過ぎる時に地面に飛龍が叩きつけられていく音が聞こえる。


「…これが地獄絵図ってやつなんだな」

「パワーアップ、し過ぎ。この言葉も、もう、言い飽きたね」

「ふ、ふれあさんー!治療もすんでないのに無茶しちゃだめですよぉぉ!」


「ふぅ、お仕置き完了」

「「「お仕置きっていうレベルの威力じゃないから!!」」」


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