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虹と翼と  作者: 零式章
2-2 緑龍 リョク 銀龍 シロガネ
28/52

限定召喚 炸裂と風船と轟沈

"共鳴発動"それは相性のよいドラゴンと使い手がシンクロ率を上げ、本来よりも強力な効果を得るものである

――コウの取説、白紙の部分に浮かび上がった文字より抜粋。


「さぁ、あのでかぶつ、どうやって破壊しようか?」

『過激すぎ。調子乗ると、魔力切れ、起こすよ』

『アリアの魔法で内側から虫食いにされてるからな、リョクとシロガネが加わった以上ツバサのステータスもかなり上がってるはずだし、いけるんじゃないか?』


先ほどよりも障壁が軋む音が小さくなっている。だが押し合いの状況は変わっていないわけで、残り半分ほどになったハンニバルは依然として町の上空に存在していた。

このまま支えつづけるだけなら、少量の魔力のみで周囲に満ちる魔力を操るリョク(こちら)が有利。しかし、相手はハンニバルだけ置いていけば無事逃げおおせてしまうだろう、ツバサが町を見捨ててすぐに追うわけがない。逃がさず殺さず、捕まえる……言葉だけなら簡単だけれど実行は難しいものである。


『ツバサ、押し合ってるとき急に片方が力抜いたらどうなる?』

「そりゃ力を抜かなかった方はつんのめる……あぁ、そういうことね」

『魔力の供給はリョクに任せな、制御は私がしてやんよ。後は今考えたことをあんたが実行に移せば終わることさ』

「じゃあ、皆、今回もよろしく!」

『『『OK,マスター!!』』』


コウに合図し、ハンニバルと押し合いを続ける障壁の魔力を減らす。空を歪める風壁と白く輝く光の壁が涼やかな音を立て、あっけなく砕け散った。支えを失った巨体が勢い余って地上に迫る中、イメージする形は獲物に喰らいつく顎。雷龍障壁の応用編!!


「リョク、ありったけ込めるから魔力をもっと集めて!」

『任せて、町中の、魔力、かき集める!!』

「コウ、風龍障壁!」

『制御みすんなよ、ぶっ飛ぶぞ』

「シロガネ、僕の補助を!」

『あいよ、きっちり狙いつけないと承知しないよ!』


アレは止めるなんてあまっちょろい考えではダメだ、押し返す……いや、吹き飛ばす!!

それぞれに指示を飛ばし、風龍の召喚に備えて集められた魔力を術式に込めて世界に解き放つ。


「『風龍障壁、限定召喚』」


呪文は世界に対する宣戦布告であり、魔力を代償に貴様を捻じ曲げ望んだものを産むという言霊である。吹き荒れる風が砂を巻き上げることで、ようやく世界を捻じ曲げて生まれた者の姿を視認させた。

風で構築された巨大な龍の頭、牙を剥いて今にも喰らいつかんとするそれはまさに「風龍の顎(ドラゴンストライク)


「……でかっ」

『当然!一々全身かたどって作るから効率が悪いんだよ、そんな事も分からないのかい虹色コンビ!!』

『頭部だけの限定召喚なんて芸当は制御特化のお前以外できねぇよ!』

「まぁいいじゃない、今ここで成功してる、それだけで」


言い合いをBGMに風龍が咆え、落下してくるハンニバルに牙をたてた。豊富な魔力で生み出されたその龍はハンニバルを支えるどころか押し返してゆく。


「さて、コレで相手は対抗する為に重力を更に強くするはず」

『こっちの作戦通りとも知らずに、な』


ツバサが悪戯を仕掛ける子供のように笑い、風龍の術式を解く為(・・・)に魔力を操作する。


「さて問題です。あの吹き荒れる風で出来た龍ですが、コウ」

『部分的に消滅させるとどうなるでしょうか?次リョクな』

『正解、は……。はい、お姉ちゃん』

『くらってからのお楽しみだっ!!』


順番に言葉を引き継いで術式を書き換えていく、それは自分達なら絶対に負けないという仲間への信頼から来る余裕。


「『いくぜー……シールド・テンペスタ!!』」


コウがツバサの身体でニヤリと笑い、牙の部分を一気に解放。次の瞬間、喰らい付いた龍が炸裂しハンニバルを大きく吹き飛ばした。


「やっぱり無理矢理方向を変えて生み出した風だからね」

『部分的に解放するとそこから一気に逃げようとするんだよな』


多分色々言うよりもパンパンに膨らんだ風船を思い浮かべた方が早いと思う、と心の中で呟くリョクだった。

龍を構築する暴風がハンニバルを町の上からずらした事により、再び星明りが町に降り注ぐ。


「そろそろかな?」

『3,2,1…』


近くの山に激突したハンニバルが地響きと共に崩れていくのが見える、アリアの魔法でボロボロになった所を風で打ちのめされ、山に激突したのがとどめになったらしい。

再び瓦礫が浮かんでこないことを確認しドラゴン3人は人型に戻った。


「3人同時は流石に少し疲れるね」

「さて、クロガネ起こしてユカリ捕まえるぞ」

「もたもた してる ユカリ 逃げる」

「黒幕、にも、逃げられちゃう」


リョクが疲労したツバサの手を引いて走り出す。コウが後に続き、立ち止まったシロガネは驚愕していた。それは誰にも聞こえないほど小さい呟きだったが、なんでツバサは動けるの?と言っていた。

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