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虹と翼と  作者: 零式章
2-2 緑龍 リョク 銀龍 シロガネ
26/52

町食いハンニバル 思い出とドラゴンと巨大なゴーレム

何年ぶりかのコウとのお祭、そして始めてのクロガネやリョク、アリア達とのお祭。

カルト達を倒した噂が広まっているのか、アリアと一緒にいるからなのか

夜店に僕が顔を出しても嫌な顔をされることもなく、皆が笑顔で祭を楽しんでいる。

人間界では忌み子とばれただけで追い返された、ここではそれがどうしたと笑われた。

おもわず泣きそうになったがコウにからかわれるのは目に見えてるので我慢する。

シロガネ(あね)に甘えられて困ってるリョク(おとうと)とか、持っていたリンゴ飴をコウに齧られて真っ赤になってるクロガネとか、なぜか解らないけどアリアとタコヤキの早食い勝負とか、何の変哲も無い、だからこそ、楽しいお祭だと思えた。


日付が移り変わろうかという頃、宿の一室で疲れきった一行は眠っていた。

ふと、アリアとシロガネが目を覚まし、クロガネ達を起こさないよう静かに部屋を出る。

宿屋の入り口を出て目的地に向かおうとすると


「こんな時間に散歩なんて、僕達も付き合おうか?」


いつの間に起きていたのやら、路地裏からコウ・ツバサ・リョクが姿を現した。

コウは楽しい事に首を突っ込みたいのか不敵に笑い、リョクは姉がいくからついていくのか眠そうに目を擦り、ツバサは真剣な表情だった。

クロガネはそのまま寝かせてきたらしい。


「護身的な意味でならシロガネが要れば心配は無いと思うが」

「いやいや、俺みたいな防御特化がいるだろう。町食い退治とかには、な」

「アリア ばれてるし リョク達 連れてこ 早く終わる」

「僕でも、こういう時は役に立つ、多分」


シロガネに抱きしめられたままいうリョク、シロガネが「さすが私の弟」といつもどおりブラコンを発揮して男性陣は苦笑を浮かべる。コウも相変わらずだなぁと呟いてアリアに向き直った。


「アリア達は気づいてないと思うが今回の件もドラゴンが絡んできてるみたいだ。

夕方二人と合流する直前にユカリの力っぽい反応があった」

「ツバサ、多重契約してるから、ドラゴンの力、気づきやすい。僕達、あのドラゴン知り合い」

「待て待て待て、何でシロガネは気づいてないんだ」

「……そのブラコンが弟の前で他に気を配るとおもうのか?」

「僕も今日知り合ったばっかりだけどそうは見えないからねぇ」

「………確かに」


呆れた調子で兄妹に視線だけやる虹コンビに、現代魔王は肩を落として肯定することしかできなかった。



夕方の騒動で残された痕跡から遠距離から力を使ったこと(路地裏なので上空から力を使ったと推測)

シロガネとリョクが使わない魔法の跡だったこと等をコウとリョクがアリアに説明する。

(二人は薙ぎ倒すような衝撃波を起こすことが多いのに男は重力のようにまっすぐ下に倒れていた)

シロガネにも聞こえるように言ったがリョクの言葉ですら耳にはいってないので放置しておいた。


「とまぁそういうわけでユカリが絡んできてる可能性が高い」

「ユカリってことは紫龍?」

「そう、それとユカリ、重力操作に特化してる。ハンニバル、噂だと巨大。人間の術者じゃ隠しきれない」

「つまりそいつ自身の特殊能力で空高く舞い上げてるって事か」


アリアが納得したように頷きながら、リョクを愛で続けるシロガネを引き剥がす。

名残惜しそうにしつつもクエストの為に渋々離れ、パンパンと手を鳴らして仕切りなおす。


「多分 まだ上にいる 寝静まった頃 今日の稼ぎ 奪うつもり」

「元々略奪なんてするような奴じゃないし、祭の途中に仕掛けてこなかったのも被害を減らすためだろうな」

「じゃあなんでこんなことをしてるんだろうな」

「コウも、ツバサが人質に取られたら、同じ事するかと。僕も、そうする」

「脅迫なら、説得次第でどうにかなるかもしれないね」


とりあえずまずはハンニバルを探してみよう、という提案で満場一致。

捜索開始30秒後。


「いやいやいや、もう見つかるとかありえねぇだろ、はやすぎだろ」

「いや、あれは見つからない方がおかしいだろ?」

「ユカリ あんなに広範囲 力使えた?」

「成長、したのかも?僕達も、少しづつだけど、強くなってるし」

「僕が言うのもあれだけど、君達落ち着きすぎじゃない?」


明るい満月が隠れたと思って空を見上げた5人が発見したものは……巨大な鯨型のゴーレムだった。外見は特に歪でもなく醜悪でもなく、寧ろ芸術的ですらあった。ただし、規格外なのはそのサイズ。


「ジャイアントが1としたら5くらいはありそうだな、ツバサ」

「流石に雷龍障壁でもあれに対抗するのは無理だろうね」


あぁ、確かにさっき上にいるだろうとは言った。でも、まさか町の何処か、ではなく町の上空を覆ってるなんて誰が思う。……黒いボディが宵闇に紛れて気づかなかっただけでハンニバルは既に町の上空に存在していたのだ。

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