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虹と翼と  作者: 零式章
2-2 緑龍 リョク 銀龍 シロガネ
23/52

祭会場への道のり お仕置きと姉無双と最悪の予想

「まぁ先にいったものは仕方ない、西の村だってのは伝えてるし小遣いも持たせてるから大丈夫だろ」


アリアは苦笑し、大きめの馬車を借りにいった。コウとクロガネは笑いつつツバサは溜息をついて続く。


「パートナーも無しで大丈夫かなあ」

「大丈夫、シロガネはドラゴン仲間でも有名なほどブラコンだしリョクも姉が好きだ。ドラゴン同士だからお互いの契約効果はないが、お互いを使って戦うことは出来る。というかまずシロガネ自身も強いはずだ」

「……驚かせようと思って黙ってたら弟拉致っていくとはな、こっちが驚かされたぜ」

「黙ってたのは賢明な判断じゃの、あのブラコンじゃと言った途端に龍に戻ってこの村を襲撃しておったかも知れん」


ドラゴン二人は笑い続けるが幼馴染のアリアにとっては開いた口が塞がらないレベルの驚きだった。

あの人形みたいに静かで冷静なパートナーが実は弟に関してはそこまで変わるのか、と。

そんな呆けたアリアの隣ではツバサが指を鳴らして呟いた。


「とりあえず追いついたら二人ともお仕置き。リョクはともかく、シロガネはパートナーを一人にしちゃだめじゃない」



「「――ッ!?」」


突然走る悪寒に二人揃って肩を抱き、震え上がるリョクとシロガネ。


「ア、アリア 本気 怒ったかな!?」

「違う、今の多分、コウのパートナー。ツバサ、だとおもう」

「ツバサ 何者!?」

「子化けの巨人と吸血鬼、人間の混血。ツバサ、コウとクロガネ、同時に使える」

「……人間じゃない あの二人強力 負担 私達の比じゃない」

「でも、悪い人じゃない。さっきも、自分じゃなくて、僕の為に怒った。きっと、アリアおいてきたこと、怒ってる」


だが今更戻っても怒られる事にかわりは無い、よって祭りを楽しんでから合流する事にした二人なのであった。

再び歩き出して、二人は周囲の気配が異様に少ないに気づく。人払いでもされたかもしれない。

引き返そうとすると、すっと優男と冒険になれた傭兵のような男が現れて行く手を塞ぐ。


「おっと、坊ちゃん嬢ちゃん、こんな時間に二人でどうしたのかな?」

「迷子になったのかな?俺達がパパとママの所まで送ってあげようか?」

「お構いなく、この先、連れが待ってる」

「護衛も 必要ない 私達 おじさん達より強い」

「はははっ、コイツは度胸のある嬢ちゃんだ。俺達よりも強いときたか」


そっけなく言ってすれ違おうとしたシロガネの肩を傭兵のような男が掴んだ。

リョクがその手を払おうとするも優男に羽交い絞めにされる。


「まぁそう暴れるなって……暴れたらもう一人を殺すぜ?」


傭兵が顎をしゃくると優男がナイフをリョクの喉元に当ててにやつく。

ソレを見たシロガネは、両手を二人の男に向けて俯いてしまった。

大人しくするから止めてくれ、と男達は解釈する。俯いたシロガネの瞳が銀色に輝き唇が小さく動いている事に気がつきもせずに。

もし気づいていたらこう動いたのが解っただろう。「C(カートリッジ)・大地の欠片。MB(マジックバレット)・ゴレムの嘆き……ショット」と。

びくん、と震えたかと思うと二人の男は途端に動きを止め、何か重いものが倒れるような音が続く。

石化した(・・・・)男の腕から抜け出したリョクは振り返って冷や汗を流す。


「お姉ちゃん、やりすぎ…」

「リョク 危ない目 あわせた 理由 十分。寧ろ お姉ちゃん まだ足りない」

「まわりにいる奴、ボコボコにして。お姉ちゃんが誰か殺す、僕悲しい」

「……リョクが言うなら しかたない。殺さずに倒す お姉ちゃん 不可能は無い」


自信満々で薄い胸を叩く姉を前に、リョクは不安が拭いきれなかった。



ドラゴン姉弟が無双している間にカメラは戻って馬車の中。カルト戦以降、ツバサはずっと疑問に思っていたことがある。

コウとクロガネは『心を通わせた者だけがドラゴンを振るえる』といった、事実コウの契約の時もそうだったはずだ。

なんでカルトはリョクを使えたのか?初めてあった敵意の無い、この忌み子(アリア)なら何か知っているだろうか?


「アリア、どう見ても心が通ってないパートナーがドラゴンを使えるなんて事があるの?」

「はぁ?藪から棒にどうした」


カクカクシカジカでカルトとリョクについて説明し、意見を求める。

アリアも首を傾げる。ただし、カルトではなくツバサ達の方を疑問に感じて。


「ドラゴンが気を許した相手なら誰でも使えるだろ?シロガネは元々俺の師匠、青の忌み子が使ってたし」

「待て、そんなことわしもコウも無理じゃぞ、前に試したがだめじゃった」

「あぁー……なら二人がプロトタイプか、シロガネはプロトタイプでは無いって言ってたし。何かないか、試作型ほど威力と何か不便な点がアルはずだ」


そう言って魔法の発展を例に仮説を話してくれるアリア。

自分でも制御が聞かないほどの魔法で魔王になっただけあってその手の話には詳しかった。


「つまり強さを求めて使いやすさを無視した設計になってるって事?」

「確かに俺とクロガネは他の奴らに比べると柔軟性が無い代わりに強力だ。防ぐ、突き破る、それだけだからな」

「リョク達は『誰にでも使えるように』条件を緩くした設計なんじゃな。それならばカルトの時の謎がとけるのじゃ」

「あぁ、リョクとシロガネは本人が気を許せば問題ないんだろう。多分味方なら誰でもつかえるって言う武具もあるはずだ、忌み子っていう縛りはあるだろうが」

「……誰にでも使えない様な武器は戦力に値しない、故に誰にでも使えるように……っなら、もしかして!!」


急に立ち上がるツバサ、その顔は真っ青で恐怖にがたがたと震えていた。

コウはツバサを座らせ、軽く頭を撫でて問いかけた。


「どうした、ツバサ?」

「顔色が悪いのじゃ、横になるかえ?」

「ツバサも同じ結論についたか」

「この想像が間違ってないなら、リョク達以降に作られたのは……」

「武器は戦う為にある、だが、誰に向けるか決めるのは結局、肉体を持つ者だ」

「「だからこそ神種族は……」」


忌み子二人が声を揃えて気づきたくなかった結論をだす。


「「戦力増加の為に、持ち主の体を支配する武器(ドラゴン)を生み出した可能性がある」」

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