平穏の崩壊
初投稿です!まだまだ至らないとこが多いのでアドバイスもらえると嬉しいです!(週一で投稿したい…)
季節は12月。世間がクリスマスだのなんだのではしゃいでいる中、僕、雨宮千隼は1人で暗い森の中を歩いていた。
僕は今日「こそ」死ぬ。
寒い、怖い、そんな感情が僕を渦巻く。しかし、もうすぐそんな負の感情から解放される。そう考えると、少しばかり気が楽になった、気がする。
そもそも何で僕が死のうとしているのか、事の経緯は少し前に遡る。
僕には彼女がいた。彼女とは成人式で再会してからなんやかんやあって付き合うことになった。彼女との交際期間は2年半ぐらいになると思う。仕事も交際も、うまくいっていると思っていた。しかし、そんな平凡ながらも幸せな生活は、ある日を境に崩れることとなる。
ある日、僕がいつものように帰っていると、視界に見覚えのある人物の影が映り込んだ。それは紛れもなく彼女だった。僕は声をかけようと歩み寄る。しかし、僕の足は彼女の十数メートル先で止まる。
「隣に誰かいる…」
最初は彼女の身内だと思っていた。いや、“最悪の事態“を信じたくないから無理やりそう思っただけかもしれない。
「あいつが浮気なんてするわけないよな…」
しかし、その“最悪な事態“が起こってしまう。
彼女たちが向かっている建物、その建物には紛れもなく「hotel」の文字があった。
「嫌だ…信じたくない…」
彼らが建物に入る。それと同時に僕の中の何かが崩れ落ちた。
それからというもの、何もかもうまくいかない。彼女とはあの後すぐに別れた。
「待って!違うの!あれは弟と泊まっただ…」
などと何か言っていたが、無視して別れた。あんなやつの顔なんてもう見たくない。
しかし、あいつと別れてから、何もかもうまくいかない。今まで分担してやってきた家事も、作ってくれていた夜ご飯も、全て自分でやらなければいけなくなった。その結果、仕事も手付かず、ミスを連発。しまいには、大事な商談をすっぽかしてしまい、クビを宣言された。それでこのザマってわけだ。
しかもクビを宣言された日、帰りの電車で何もしていないのに知らない女性に痴漢と罵られ、痴漢冤罪で取り調べをされた。何時間も質問攻めを受けた。幸いにも痴漢の疑いは晴れたが、周りの人間からは冷たい目で見られるようになった。
彼女も仕事も失い、挙げ句の果てには信用も失う。もう僕には何も残っていない。何もかも上手くいかず、もう死にたいと思った。
僕は死のうと思った。だから僕は住んでいたマンションのベランダから飛び降りた。しかし運悪く生き延びてしまった。打ちどころが良かったからなのかはわからない。そして僕はこの飛び降りで少し前の頃の記憶を失った。皮肉なことにも死ぬ理由になった出来事の記憶は残っている。どうせ死ぬんだ。覚えていようがいまいがどうでもいい。
僕は一ヶ月病院に入院した。その入院期間で確実に死ねる方法を探した。そしてこの森を見つけた。ここなら確実に死ねる。そう思った。
そんなことをしばらく考えながら歩いていくうちに、この県で有名な自殺スポットに到着した。ここは人目につかず、静かなため、ここを人生最期の場所として選ぶ人が多いらしい。
僕はさっきスーパーで首吊り用の縄を買ってきた。周りを見渡すとちょうどいい様な木があったため、その気にロープを括り付けて首を通す。
しかしいざ死ぬとなるとやはり迷いが生まれるものだ。僕は数分間人生を振り返ってみた。思い返せばまあまあ充実していた人生だったのかもしれない。でも今は違う。全てを失い不運に見舞われた僕は、もう生きている意味がない。
ようやく決心がついた。縄を木に括り付けて用意していると、ポケットの中から何かが落ちた。財布だ。仕事をクビになってからずっと落ち込んで何もしなかったせいだろう。財布の中には銀行から下ろした分も含めて意外にも十数万円入っていた。だが今の僕にこのお金の使い道はない。
(このお金どうしよう…)
(僕を見つけた人が取ってくか…)
お金なんて結局使い道がなければただの紙切れだ。このお金はそのままにしておこう。ここに来た人が持ってくかなんかするだろう。
そんなことを考えながら準備する。僕が首を吊ろうとしたその時、動物の鳴き声でもない、紛れもない人間の声に呼び止められた。
「あなたもなんですね。」
そう言った声は透き通っていて美しく、溜まっていた悩みを払拭してくれる、そんな声だった———。
恋愛系なのに最初が鬱…なのはもうすぐ終わります!自分の好きなシチュエーション詰め込んでいくので楽しみにしててください!




