表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

親愛なるマリーへ

作者: ジャンヌ
掲載日:2025/12/10

1. マリーの記憶

僕はマリーを見るたび、いつも猫みたいだと思った。

自由で、気ままで、でもどこか愛らしい。

声をかけるとすぐに隠れるその無邪気さが、たまらなく愛おしかった。

僕はマリーの真似をしてみたり、ただそばにいる時間を楽しんだりした。

明日や過去のことなどどうでもよく、僕らだけの世界を描き、手を繋ぎ、笑い合った。

猫を撫でるマリーを見ては、僕はその小さな仕草に見惚れた。

何気ない言葉に感化され、僕は知らず知らずのうちに彼女の世界に染まっていた。

でもマリーはどこか遠くを見ていた。自由に世界を描くその姿は、僕には掴めないものだった。

それでも、僕はその世界に少しだけでも触れられたことを、心から嬉しく思った。


2. マリーの死前

曇った街で、マリーは息が詰まるような日々を過ごしていた。

幻聴に囁かれ、プロザックに頼りながらも、心の影は彼女を見つめ続ける。

「このまま飛んでいたい」――誰にも理解されない孤独の中、マリーは静かに終わりを想う。

キリスト教の教えでは自殺はタブー。だからこそ彼女は“異端者”だった。

独りよがりの詩に囁かれる「bonne nuit マリー」は、甘く、幻の慰めの声だった。


3. マリーの死後

マリーがいなくなった後、僕はまだ胸の奥に彼女の声を抱えている。

傷ついた心で叫んでも届かず、笑っても晴れない日々。

死にたいのに死ねない、死にたくないのに生きられない――その揺れる心の中で、僕はマリーの存在を再び求める。


「マリー…」


僕は夜の闇の中でつぶやく。

生きていた頃の光と、死後の影が混ざる中で、僕は気づく。

心の中で僕らはつながっていることを。

悲しみも苦しみも、孤独も希望も、すべてを共有したい…

春風と木漏れ日が夢に差し込み、二人の歌う声が空に届く。

花びらの中に、僕の胸を晴らす光がある。

泣かず聴いてね、マリー。

僕らは、ひとつさ。

短編小説を書いてみました。読んでいただけると嬉しいです。感想などいただけると、もっと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ