第1話 愛を探しにいくんだよ。一緒に行かない?
桃色の髪の小さな女の子の妖精のみーと金色の髪の小さな女の子の妖精のきき
愛を探しにいくんだよ。一緒に行かない?
なんだか、『魂が抜けてしまった』みたいな顔をして、桃色の髪をした小さな女の子の妖精のみーが(だらしない格好で)大きな緑の葉っぱの上に座っている。
「みー。遊びにいこうよ! 雨上がりで世界がきらきらしてるよ!」
そんなみーに幼馴染の友達の金色の髪をした小さな女の子の妖精のききがそう言った。
「遊びに行かない。めんどくさい」
となんだかとっても不満そうな、ちょっとだけぶさいくな顔をわざとしてみーは言う。
「ねえ。ききはさ。ここではないどこかにいってみたいなって思ったことはない?」
みーのとなりのところに座ったききにみーは言った。
「ここではないどこかって、どこ?」
小さく顔をななめにしてききは言った。
眩しい太陽がぽかぽかとしていて、優しい風がとっても気持ち良くて、なんだか眠たくなってしまうくらいにとってもいいお天気だった。(森の木や花たちもみんな笑っているみたいだった)
妖精の国は今日も美しくて、静かで、穏やかで、平和でのんびりとしていた。
「よし、決めた」
遠くの空を見ながら、立ち上がって、みーは言った。
「決めたって、なにを決めたの?」
手や足をゆっくりと動かしながらききはいう。緑の葉っぱの上にはみーとききの影があって、その影を動かしながら、ききはぼんやりと見ていた。
「私、妖精の国を出ていく」
「え?」
思わず(影を置いてけぼりにするくらいに)とっても素早い動きで顔を動かして、みーを見てききは言う。
「妖精の国を出て行って、人間の国に行くんだ」
なんだか吹っ切れたようにして、(曇り空の顔から、今みたいな雨上がりの青空みたいな顔で)にっこりと嬉しそうに笑って、みーはききを見てそう言った。(そんなみーをとっても驚いた顔をして見ているききの目には、笑顔のみーと一緒に雨上がりの青空にかかる綺麗な虹が見えていた)




