第8話 日本での生活
ーーー日本に帰ってからの日々の生活。
起床。
ラジオ体操をするのではなく、あちらに飛ぶ。
で、領内サーチ。
森の浅い場所には弱い魔物しかいないため、森の奥をサーチ&収容。
「あまり狩ると冒険者が困るかもしれないから、冒険者の手におえない強さだけでいいか。」
ぱっと見た感じ、日ごとに強い魔物はいなくなってきた。
「そろそろサーチ範囲広げたほうがいいか。」
魔物の探査もだんだん慣れてきて、より広大な範囲をサーチできるようになってきた。
小一時間動いた後、日本の自室に飛んで、朝食。
「この時間なら、就職してからも続けられるかな。」
午前中。
地元の町と就職する会社までを自分の活動範囲と考えて、悪意サーチ。
「なんか危ない感じ!」と明確な根拠もなく感じた場合は、無条件にサーチ&収容。
ひととおりいなくなったところで、悪意サーチの危険度を徐々に甘くする。
自己完結で罰を与える。
頭をひっぱたいたり、足を引っかけたり、罰の内容はその日の気分。
「だめだ、やっていることが、キ〇になっちゃう。
こんな狭い範囲でやってたらすぐ、〇ルに追い詰められちゃう。」
と冗談をいいながら嫌がらせを続ける。
この嫌がらせにより、どんどん悪意が強くなっていくが、全く気が付いていない。
きっとミコトへ向けられていた悪意も、無自覚の悪行によるものだろう。
午後。
買い物と資源サーチ。
金とか石油ではない。見つけても勝手に掘れない。
ゴミの回収である。
「あっちで、原子毎に分離して結合。
銅、鉄は、集まってきたら換金しよう。」
換金は海外である。
やはり、言葉が通じたのは特典だったらしい。
帰ってきて、英語が苦も無く話せた。
海外はひとっ飛びである。
値段がわからずに交渉は難儀。
たまたま、会社を興そうとしていた人と意気投合。
なんか、言葉が通じる日本人に感動したのがきっかけらしい。
「定期的にこの純度の銅と鉄が納入できるの?
それなら、これから会社を興す予定だから、うちが専属になれないかな。」
「ちょっと都合があって、金属販売で得たお金を表に出せないんだけど。」
「盗品?違うの?廃品回収してこんなに?ゴミ拾い?
ゴミからの抽出手段が明かせない?
うーん。
じゃあ共同経営にしよう。役員報酬として払うから。
仕入れ先はこっちでなんとかごまかしておくよ。」
「ありがとう、それでお願い。
金と銀もあるんだけどやめとこう。」
「やっぱりあるんだ。
これだけの量がゴミから採れて、他の金属がないはずないからね。
今度持ってるものの一覧教えて。
さすがに金、銀は目を付けられやすいからダメだけど、
他に扱えそうなものがあるかもしれない。
日本のゴミから何が採れるのか興味もあるしね。」
会社の役員になった。
確定申告物件となった。
「就職先、副業OKだっけ?副業だよな?就職先のほうが副業にならないか?
まあ、黙ってればいいか。
確定申告さえやっとけば、税務署から職場に伝わらない・・・よな?
バレたらやめればいいし。
不労所得あるし。
不労所得?
ゴミ回収とゴミの分別って、じゅうぶんに労働だよ。」
金、銀どうしようかな。
「うん、いつか使えるだろう。」
細かいところは先送りである。
夜。
自身への悪意をサーチ。
こっちは、知り合いがいるかもしれないから、マップと照らし合わせながら行う。
「知らないんだよなぁ。」
どんどん範囲を広くしていき、行動範囲外のため、マップを見てもわからない。
当然のことながら、離れれば対象はいなくなり、
いつの間にが日本全土がサーチ範囲となった。
日々、
「今日もいない。」
と、心の安寧を取り戻した。
そもそも、何であんなにいたんだ?
何をした?
記憶はない。
きっと冤罪だろう、忘れよう。
就寝。
大学を卒業、4月に就職。
でも朝晩のサーチは継続。
ゴミ回収は会社の往復で。
2、3日で回収するものがなくなった。
まあ、遠隔で回収できるから、だんだんと範囲を広げて回収していく。
会社に入ってから知ったが、昨年、上層部の多くが行方不明に。
「えっ?
心当たりありまくりなんだけど。
ここってそんなやばいやつが上層部だった?」
これからいい職場環境になるんだろう。
「そうだ、私利私欲にまみれている奴もサーチ対象にしよう。
そんなのがみんないなくなれば良い会社になる!」
自身は中心にいるために、サーチに引っかかっていることには気づかない。
ちゃんと、サーチ魔法には引っかかっている。
私利私欲にまみれている。
土曜日。
組合の解体場へ素材を引き渡しに行く。
日時指定で飛べるから、次に来る日を約束する。
組合事務所には、日本の菓子を袋詰めし直して配布。
気分は、チョコを配る兵隊さんである。
【テーマソング(YouTubeショート)】
アドベンチャーワールド
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