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天邪鬼な断罪執行人  作者: nao19000
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第4話 薬草採取しながら闇魔法探求




 「ミコトさん、次回から巡回業務はしなくてよいです。」


 淡々と告げられた言葉に、一瞬耳を疑った。


 「……巡回業務、クビになりました?」


 「ええ、まあ、そういうことになりますね。」


 「えっと、他の業務ですか?」


 「今、事務手続きの見直しをしているので、それについての意見を少々頂けたらと。  あとは王都から調査員が来るまで自由にしていて構いません。その間も、巡回していた時と同じ金額は支給します。」


 「それだと申し訳ないので、巡回続けていいですか?」


 「例のレポート作成方法を取り入れてから効率が良くなって、人手不足が解消しました。むしろ、少し余裕が出てきたので、今後は別の業務もできるように教育を開始する予定です。  たとえば、薬草採取や討伐訓練などですね。」


 「そうですか。それなら、薬草採取の教育に参加してもいいですか?  この世界の病気や怪我に効く薬草を知っておいて損はないと思うので。」


 「午後一時から裏庭で講義があります。申請しておきますので、直接向かってください。」


 「ありがとうございます。ところで、組合の人たちの名前を誰も知らないまま過ごしてきたんですけど……秘匿事項だったりします?」


 「え? 初めに言いませんでしたっけ?  界渡り人の資料作成でバタバタしていたので、うっかり忘れていたのかもしれません。  私はリナです。今更ですが、よろしくお願いします。」


 「リナさん、よろしくお願いします。  他の方々の名前も、直接聞いた方がいいですよね?」


 「そうですね。今まで名前を知らなかったし、使ってこなかったのですから、いきなり呼ばれるのも驚くでしょうし。  それとなく、名乗り忘れていたことと、今日名前を聞かれたことを伝えておきます。ミコトさんが不自然に思われないように図っておきますね。」


 「助かります。じゃあ、講義を受けて、これからは薬草採取をメインにしていきます。」


 しばらくの間は収入が保証されているし、のんびりとやっていこう。


 ◆◆◆


 講義が始まると、目の前の机にぎっしりと並べられた無数の薬草。


 「うん、一気に詰め込みすぎだ……。」


 一種類ずつ丁寧に学ぶのかと思いきや、淡々と説明され、質疑応答の時間は説明後にまとめて。  しかし、質問をすると「それは説明したでしょう?」と返される。


 「どの草がどんな効果を持ち、どんな価値があり、どう採取すべきか——。  一気に詰め込まれて、全部覚えられるわけないだろ!」


 かろうじて食あたりに効く薬草だけは気になったので記憶できたが、その他はさっぱりだった。  講義が終わった後、リナさんに「よく見つかる薬草について詳しく教えてもらえないか」と頼むことにした。


 「地道に一種類ずつ覚えるしかないな……スマホが充電できたら、画像メモとかで楽にできるのに。」


 ◆◆◆


 朝の習慣ができた。  組合に顔を出し、薬草の知識を少しずつ吸収しつつ、事務仕事の改善点についても相談を受ける。  最近は愚痴を聞かされることが多くなってきたが、ストレス発散の相手として機能しているなら仕方ない。


 仕事らしい仕事をしていない分、散歩しながら薬草を探し、さらには闇魔法についての実験を試みる。  新たな魔法を生み出せるかもしれないと、思いついたことを片っ端から試し、何か成果があれば記録する。


 特に力を入れているのは——電池の充電方法。


 「腕時計が充電されているか分からないんだよなぁ……スマホで試すのは怖いし。」


 しかし、そもそも充電手段が魔法で可能なのかすら分からない。


 ふと、別のアイデアが浮かぶ。


 「魔法で写真やメモを残せないか?」


 記録媒体を作り、そこに保存する——イメージは電子ファイル。


 「記録媒体がないと、どこに保存するんだ?」


 目に見えない場所、亜空間のような概念の倉庫を想定する。


 ——すると、何かが生まれた。


 「……できた?」


 記録媒体を意識しながら、目で見たものを魔法でトレース。  試しに、薬草の写真と名前、採取方法を記録してみる。


 「これなら薬草の知識を忘れずにすむな。  ついでに、記録した薬草をサーチで見つけられないか試してみよう。」


 結果、記録媒体と連携することで、記録した写真の内容のものをサーチできるようになった。


 「これは便利だな……だが、あまり多く集めすぎると目立ちそうだ。  新しい薬草を見つける時だけ検索しよう。」


 その日から、組合に珍しい薬草が次々と納品されるようになった。


 ◆◆◆


 「ミコトさん、この薬草、どこで見つけました?」


 「森の左端に向かう途中で、ちょうど森との境界あたりにポツンと生えてました。  群生地は見ていません。」


 「そうですか……ありがとうございます。」


 いずれ時間停止のアイテムボックスを作りたい。


 「箱……段ボール箱しか思い浮かばないな。」


 冷蔵庫? コンテナ? 秘密基地?


 思考を巡らせながら、異世界の夜は更けていく。


 ——時間を操る魔法が実現すれば、薬草の鮮度管理すら自由自在だ。


 だが、実験の結果として、超低温で凍りついた薬草は、細胞を破壊されて枯れてしまった。


 「やりすぎたか……。」


 未知の魔法の探求は続く。


 安全な範囲で……できる限り。


 ◆◆◆


ゼロ

 対象を絶対零度で凍らせる。

 凍った瞬間は状態維持となるが、うまく解凍しないと細胞レベルで破壊される。

 食べ物に絶対零度はいらないな。解凍したら肉がグズグズになりそうだ。

 たぶん、この世界では防ぎようのない最強呪文。

 ゼロって。

 簡単な単語すぎて危ない。

 素材もダメになっちゃうだろうから、気を付けよう。

 最終兵器に決定。


トレース

 記録したいものを記録媒体に記録する。

 記録したものにタイトルを付けられる。

 タイトルと称して説明文にするとメモ変わりになる。

 とりあえず100文字程度は試したが、限度は不明。

 そんなにメモしないし。限界値探す気はおきなかった。


冷蔵庫

 なんと、日本語の呪文。

 入れたものを冷やしたり凍らせたりして腐敗を防ぐ。

 時間停止なし。


コンテナ

 案の定、コンテナハウスが目の前に出現。

 食器、設計、消耗品を持って帰ったが、復活する仕様ではないようだ。

 野営のテント替わりに使える。

 テントと違い、大型獣でなければ、見張りなく安眠可能な物件。

 コンテナで指定場所に設置。

 リリースで返却。

 リース料金がかかる気配はない。


格納庫

 戦闘機とかモビルスーツ?見たいのが、チラッと見えたが、見なかったことにした。


【テーマソング(YouTubeショート)】

アドベンチャーワールド

チャンネル:nao1900

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