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狐さんと行く歴史探索  作者: 貝石箱
歴史探索部
8/22

8.


 (こう)は、みんなと合流する為、黒い人形(ひとだかた)を追いかけていた。


 黒い人形(ひとがた)のやつ、だいぶ離れちゃったな。はやく追いつかなきゃなのに。

 ……ん!? あそこにいるのって毛利さんと住吉さん? いったい何をしているんだろう?


 毛利六花と住吉八恵は、茂みの中にしゃがみ込み隠れていた。


「ねぇ、毛利さんと住吉さんはそこで何をしているの?」


「ウワァッ!!…な、なんだ山田君か……無事でなによりだよ」

「…ホ、ホントだよ、みんな心配したんだよ!」


 いきなり声をかけて驚かせちゃったみたいだけど、毛利さんも住吉さんも僕を心配してくれてたらしい。


「それで、武田さんと熊谷君は、あの黒い人形が向かってる方向にいるって事で合ってる?」


「そうだね、それで合っているよ。順を追って説明するとだね、あの人形は基本的には近くの人に向かって行くみたいだから、二人ずつに分かれて交代で引っ張ろうという話になったんだよ。それで、まずあの二人に引っ張って貰って、わたしと八恵ちゃんは茂みに隠れて人形をやり過した後に山田君を探しに行って10分後にここで落ち合う手筈になっている訳だけど……どうやら山田君を探しに行く手間が省けたようだね」


 二人で僕を探しに来てくれるつもりだったらしい。それと、毛利さん状況説明までしてくれて感謝。


「なるほど……アレを追いかけなくても良いって話なら僕も助かるよ」


 とりあえず10分待っていれば、武田さんと熊谷君が黒い人形を連れてここに戻ってくるのだ。

 じゅうぶん時間があるのなら、これから僕がしようといている事をここにいる二人には話しておいた方が良いだろう。


 項がどう説明しようか頭の中を整理していると先に六花が口を開いた。


「あの山田君がわざわざ追いかけて来たって事は、あの人形を倒す算段があるって事で良いんだよね?」


「あの山田君がどの山田君かは知らないけど……まぁ、試す価値はあるかな」


「それは、いつも体育を見学している山田君の事だよ。その山田君が走ってきたんだよ?これは大いに期待しても良いって事だよね?」


 まぁ、一年生の頃は心臓も今ほど調子よくなかったし、走る事もなかったからなぁ。


「あ、あの、毛利さん……あまりハードル上げないでくれると助かるんだけど……」


「もぅ、六花ちゃん!ダメだよ、山田君にあまりプレッシャーかけちゃ……山田君、わたしは助かるのなら、どの山田君でも良いからねッ!」


 僕にプレッシャーかからないように言ってくれてるの嬉しいけど、住吉さん、それ、助かるなら誰でも良いって言っちゃってるからね。


「それで、これから試す事を二人には先に言っておくけど、【神降(かみお)ろし】をしようと思う」


「…神降ろし? へぇ、そんな事まで出来るんだ」

「山田君、邪気払いだけじゃなくて神降ろしまで…………わたし神社の娘なのにッ!…わたし神社の娘なのにッ!」

「……いま二回言った。ヨシヨシ、八恵ちゃんは山田君に負けてる自分が許せないんだね」


「出来るというか一回も成功したことないんだけど、戦国時代では合戦で戦神(いくさがみ)を降ろして戦っていたらしいよ」


「その戦神を山田君は降ろそうとしているのかい?」


「いや、実際は神様が降りてくる事はほとんどないらしくて、良くて自身と縁の深いご先祖様の霊だったり、後は神を偽った動物霊がほとんどかな。まぁ、僕の狙いとしては霊的な何かを宿すことで実体のない人形(ひとがた)を攻撃出来るんじゃないかと思ったわけだけど、どうかな?」


「それは……試して見る価値はありそうだね!」


 どうやら僕の案は採用されたらしい。まぁ、実際に神降ろしをするのは狐さんなんだけど、狐さんの事はまだ歴史探索部の皆にも話すつもりはない。僕に見えない友達がいると思われ続けるのは不本意ではあるが、話せばきっと笑われるに決まっている。でも、もし今回の神降ろしで神様的な何かが降りて来てくれたなら……

……その時は、話しても良いかもしれない。



 茂みを出で待つこと数分。そろそろ約束の10分が経過するらしいが、未だに武田さんと熊谷君は姿を現さない。もう少し待っても戻って来なければ、探しに行った方が良いのではないだろうか。


「ねぇ、山田君。あの黒い靄を散らしたやつって、もう一回出来たりする?」


「そうだね。その気になればまた出来ると思うけど、あれでは倒せないとわかったし、もうやらないかな。だって、この次もまた人形になるとは限らないからね。」


「…それって、どうゆう?」


「考えても見てよ。あれに知能があったとして、次は僕たちを追いかけやすい獣形や鳥形になったら嫌だと思わない?」


「それは…………なんか、今すごく嫌な想像をしてしまったよ。そんな山田君の最悪に対する想像力と頭の回転の速さで、どうして学年成績80位なのか理解に苦しむよ」


「僕の成績は今は関係ないでしょ。それに、人には平常時に能力を発揮するタイプと緊急時に能力を発揮するタイプの二種類いると思うんだ。そして僕は後者に属すると思う」



『項、二人とも戻ったようだぞ』


 そんなことを話している間に武田さんと熊谷君が、黒い人形を引き連れて戻って来たらしい。


「それじゃあ、始めようかッ!!」




次話でやっと話を〆れるかも。ちなみに、まだ歴史探索を一度もしていない項たちは、いったいいつになったら出来るのか。

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