34.転生の巫女
八恵視点………かな? 投稿を間違えたわけではないです。読み進めればご理解頂けると思いますm(__)m
――安芸国、広島城下。
幸は、大きなお社の神社で、神に仕える巫女として日々のお務めに従事していた……とはいえ、巫女としてまだ働き始めたばかりの幸にとって、仕事と言えば、もっぱら掃き掃除などの雑用ばかりであったが……。
「おつかれちゃん!」
幸が境内を竹箒で掃いていると、同僚の咲が後ろから声を掛けてきた。
咲は、幸と同時期に大宮司様に才能を見出されて、この神社に来た貧しい村の娘である。歳も同じ十三という事もあり、すぐに仲良くなった。幸が最も気の許せる友人である。
「咲ったら、またお務めサボって!また巫女長に見つかる前に戻ったほういいよ。そのうち村に返されるかもよ?」
「…返されるのはマジ勘弁だけど、幸が実家に帰ったら暫く顔見れなくなると思って、幸に会いに来たんだよ」
「帰るって言っても、病気のおっ母の看病をしに帰るだけだから。来週にはすぐ戻って来るよ?」
まぁ、母親の病気は咲を心配させない為についた嘘なんだけど……。
事の発端は、数日前に私宛に届いた『文』だった。
文 (ふみ)には私の実家の家に「赤羽の矢が射ち込まれた」とあった。
かつて、この地に流れる太田川の濁流は、幾度となく城下を呑み込み、民は飢えと恐怖に震えていた。荒れ狂う川を鎮めるためには『人柱』を立てる。そういった風習が強く根付いていた。
つまり、矢が射ち込まれた家は『人柱』として、その家の子供を差し出せと言う意味だ。
私には妹がいる。妹はまだ四歳だった。
……まさか四歳の妹を『人柱』に選ぶなんて。
たが、お上には誰も逆らえない。
私には何もしてあげられない。
……仕方がない。
以前の私なら、そう諦めていただろう。
だが、今は違う。
今、私には『住吉八恵』という未来少女?の記憶がある。
文を読んだ直後に、激しい頭痛と共に思い出した。
その少女の知識を借りれば、私は『歴史』というチートを携えて過去に転生したという事になる。
……私は歓喜した。『八恵』という少女の歴史の知識で、私は妹を守ってあげられる。
私は、早速、八恵の知識の扉を開け、妹を守る為の方法を探した。
……政治、戦、飢餓、災害、事件……様々な歴史の知識が、私の中を埋め尽くす………………………………事はなかった。
…………ん?………645年大化の改新?、710年なんと見事な平城京?、794年鳴くよウグイス平安京?、1192年いい国作ろう鎌倉幕府?、1600年ヒーローわーわー関ケ原…………ふざけてんのかッ!!
八恵の歴史の知識、それは、国の主な歴史の年号を詰め込んだだけのものだったのだ。
「何、このポンコツ未来少女」
その時、幸は再び激しい頭痛に襲われた。
頭痛が治まった時、私には記憶があった。これは私の記憶だ。一度失敗した私の記憶。私は頭がおかしくなったのか? 自分でも何を言ってるのか分からない。
だが、何をすればいいかは分かる。
『人柱』に選ばれた女子が『人柱』を回避する方法として、
一.『お上に召し上げられる』
二.私のように『巫女として神に仕える』などがある。
実際に、私は去年『人柱』に選ばれて巫女になる事で回避している。
だが、妹はまだ四歳だ。それなら……
其の三.『妹を奉公に出す』だ。居なければ、生贄に差し出す事も出来ない。
私は早速、妹の奉公先を探すため動き出した。
職場の人間に何人かに当たり、幸いすぐに見つけることが出来た。禰宜の一人が「心当たりがある」という事でお願いしたら、すんなり引き受けてくれることになったのだ。
――数日後。
私は一度実家に戻り、妹を連れ出すと、待ち合わせの場所へ向かった。
奉公先の人に妹を引き渡して、それで終わりのはずだった。だが、
到着して、そこにいたのは、妹の奉公先の人などではなく、庄屋の息子だった。
「どうしてあなたが、ここに居られるのですか?」
「どうして? どうして~か、わかんね~よなぁ~あ。実は、あの禰宜とは古い馴染みでなぁ~。今回の奉公話もでっちあげって~わけだ。当てが外れて残念だったなぁ~~」
庄屋の息子は、下卑た笑みを浮かべて言った。
イラッとくる癖のある喋り方は相変わらずだ。こいつは、一年前に一回りも年上にもかかわらず、私との婚姻を強引に進めようとしたような奴なのだ。
当時、幼さを理由に断った私が人柱に選ばれたのは、それからすぐの事だった。
私は、こいつが裏で手を回したのだと思っている。
そして、今回もわざわざ邪魔をするという事は、こいつが一枚嚙んでいるに違いなかった。
「妹ちゃんをここに置いてくって~いうならぁ~人柱の件なんとかしてやれるかもしれね~がぁ、ど~するよ~?」
「それは、大切な妹を差し出せ、という事ですか?」
「そう言ってるつもりだが~~?」
「お断りします!」
「チッ、せっかく人が親切で言ってんのによぅ、人柱にでも何でもされやがれっ!」
私は、妹を連れてもと来た道を引き返した。
当ては外れたが、他に当てがないわけでもなかった。
妹を連れて街中を歩いていると、目的の人物はすぐに見つかった。
「正吉さん、実は折り入ってお願いが……」
切りの良いところまで間に合いませんでした。次回は、途中から山田視点に切り替わると思います。




