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狐さんと行く歴史探索  作者: 貝石箱
中二、最強説ホラー

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33/34

33.邪悪なナニカ


「え、えっと、邪悪だったから降りてこなかった…………とか?」


 一瞬、場の空気が凍り付いた。


 ……しまった! つい、思ったことを口にしてしまった。


「ま、まさか、七美にだけ…邪悪なナニカ?が、降りてくるわけ……」

「そ、そおだよ。もし、この前、七美ちゃんに『神降ろし』をしていたら邪神が降臨して、地上を滅ぼしていたなんて事があるわけ………」


 毛利さんと、住吉さんは明らかに動揺して声が震えていた。あと、住吉さんに至っては、想像力頼もしいかよ!…って思ったが。

 熊谷君は、口を噤んであえて発言を控え、武田さんは、言葉が出ない様子だ。


 この熊谷家の結界は、狐さんでも入るのを躊躇う程に強力らしいので、邪悪ではない『霊』さんも、好んで立ち寄らない場所なのではないだろうか。それなら、単純に近くに適当な霊がいなかっただけだと思うのだが、狐さんの話をするタイミングは、きっと、今ではない。勿論、邪悪なナニカだった可能性もゼロではないのだ。


 なので……


「ぼ、僕もさ、最初は何も降りて来なくて、裏山の時に、土壇場で初めて成功したわけだし、……熊谷君だって、最初は散々動物霊が降りて来てたからね。だから、武田さんも、そのうち……」


 ……そう、『武田元繁』さんとかが来るといいなぁ?


「そっか、そーだよね。そういうこともあるよね。でも、六花は凄いね。一発で成功して……」


「あー、それなんだけどさぁ……山田君にね、先祖由来の物を持っていると、ご先祖様が降りて来やすくなるって聞いていたからね。昨日は、父親の実家にこれを取りに行っていたんだよ」


 毛利六花は、「ボロボロで開いて見せられないけど」と言って、古びた扇子を取り出すと、皆に見せた。


 毛利さんが手に持つソレは、物置や押入れの片付け中に出てくれば、迷わずに捨てるレベルの『物』としての価値を感じさせないボロだった。

 ただの古い扇子にしか見えないけど、妙玖(みょうきゅう)さんが降りてきたという事は、きっとそういうことなんだよなぁ。


「うーん、先祖由来の物って言われてもなぁ……」


 武田さんが困った表情を見せる。

 まぁ、それが普通なんだよなぁ。

 僕の家も、親の歳よりも古い物は、多分無いだろう。


 そんな事を思っていた時だ。武田さんの背後に鈍く光る光を見つけたのは……。


「ね、ねぇ、武田さん、後ろの、箪笥(たんす)の引き出し……」


 ……光ってるよね?


 全員の視線が、武田さんの背後に集まる。


「雨竜、開けるよ?」


 武田さんが熊谷君に確認を取ってから、引き出しを開けて中の物を取り出す。

 武田さんがソレを手にすると光は消え、そこにあったのは、歯の欠けた黒ずんだ古い(くし)だった。


「あ、これ、私が昔使ってたやつ!」


 どうやらソレは、武田さんが幼い頃に祖母から貰った『(くし)』で、いつも持ち歩いていたが、いつの間にか紛失していたという物らしい。


 これは、新たにゲットしたアイテム『(くし)』を持って、もう一度『神降ろし』をする流れ……かなぁ?


 失くし物を見つけて、「こんな所にあったんだ」と、嬉しそうな武田さんではあるが、ここでセットしていたアラームが鳴り響き、時間切れとなった。


 住吉パパとの約束の時間に遅れるわけにはいかないので、今回の第一回『神降ろし会』はこれでお開きだ。

 きっと、すぐに第二回も開催される事だろう。




 それから、神社に併設してある住吉さんの自宅へと向かったわけだが、なぜか、全員がついてきた。

 全員で住吉さんの部屋へ上がり込み、その後、僕だけが別の部屋へと案内された。

「お父さんもすぐに来るから」と、部屋から出ていく住吉さんを緊張の面持ちで見送る。


 住吉パパは、神社の神主をしている。という情報くらいしか持っていない僕は不安でしかたなかった。コワイ人じゃなきゃいいけど……


 住吉さんが部屋を出てすぐに、廊下から――ドタンッ!と大きな音がして見に行くと、住吉さんが廊下に倒れており、意識もない状態だ。

 慌てて皆を呼びに行こうとしたところに、住吉パパ現れた。顔は知らないが間違いないだろう。


「こ、こういう時って、救急車ですよね?」


 震える手でスマホを取り出したところで、住吉パパに止められる。


「君が山田君だね。君とはじっくり話したかったが、それどころではなくなったようだ。事は一刻を争う。まだ中学生の君にこのような事を頼むのは忍びないが、娘を助けるために協力して貰えないだろうか?」


 ……えっ!? コレって、どういう状況? 119番しちゃダメなの??




最新話の更新は、毎週土曜日、もしくは日曜日に週一回くらいのペースで行いますm(__)m

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