29.
あけましておめでとうございます!
お正月なので途中から会話多めです^^;
「ところで、山田君!今、学校中で噂になっている山田君と七美ちゃんの事なんだけど……」
……そうだよね。先程の廊下でのことも武田さんとのことが関係しているかもしれない訳だし。まぁ、今回の事も含めて放課後に部室で皆に話そうと思ってたから、先に毛利さんに話す事になっても別に問題はない。でも、その前に……
「えっと……話す前に、先にトイレ行ってきていいかな。オシッコがもう限界で……」
便所に向かう途中、あんなことになったので未だに行けていないのだ。
ベッドから立ち上がろうとして再び心臓が痛みだす。胸を押さえ、そのまま床に倒れそうなったところを毛利さんに支えられ、そのまま肩を借りて便所まで行くと、帰りも毛利さんの肩を借りて保健室のベッドへと戻る。
何と言うか、僕、すごく恥ずかしいし、情けない気持ちになった。
ま、まぁ、気を取り直して……
項は、少し考えてから、順にゆっくりと話し始めた。
最初は、武田さんに呼び出され、嘘告白をされたこと。
武田さんが石碑の前で何者かに耳元で囁かれ、怖くなって僕に助力を求めたこと。
みんなに心配をかけたくないから、この事は秘密にしてほしいと言われたこと。
結局、僕が武田さんの彼氏役を引き受けたこと。
けど、このままじゃダメだと思って、直前で武田さんとの約束を破り、熊谷君にメールで知らせたこと。
結果的に、そのおかげで皆が助かったこと。
途中、何度か胸が痛むたびに言葉を詰まらせ、それでも何とか最後まで話し終えた。その間、毛利さんは黙って最後まで聞いてくれて、僕が話し終えた事を確認すると口を開いた。
「最初から何かおかしいと思ってたんだよね。七美が雨竜から山田君に乗り換えるなんてありえないし……」
「毛利さん的には、そうなんだよね。でも、最初は只の彼氏役だったけど、毎日、武田さんと一緒に帰る内に二人の距離がだんだん縮まっていって、もしかして、このまま武田さんとずっと一緒にいれるんじゃないかって一瞬でも思ったんだよ。馬鹿だよね…………でも、結局は武田さんとの約束破って熊谷君呼んじゃって、皆にも嘘つくことになったし、挙句には、今、毛利さんに武田さんとの事、全部話しちゃってるし、そんな僕が最悪なわけで……だから、僕、『歴史探索部』を退部しますっ!」
「……えっ?彼氏役引き受けただけで、まさかの山田君が七美を好きになってましたホラー……ぢゃなくて、ちょ、メンタルやられた状態で冷静に考えられないのはわかるけど……ちょっと待って!! 山田君は、何も悪くないよ。人の良さそうな山田君を利用しようとした七美が全部悪い。私ね、幼い頃から七美のこと知ってるから、ちょっと考えれば私なら気付けたはずなんだよ。だから山田君…………ゴメンね。私が気付いてあげれなくて。私、部長失格だね。退部しなきゃだ。そしたら次も、山田君と同じ部に入ろうかな」
「何言ってんの!?毛利さんは良く頑張ってるよ。ここは毛利さんが作った部なんだから絶対にやめちゃだめだよ!僕は、ここ辞めたらもう部活には入らないし、次はないよ。それに、僕が退部する理由はそれだけじゃないんだ」
「……と言うと?」
「うん、そうだね……じゃあ聞くけど、僕が入部する前にこの間の裏山で起きた様な事、何かあった?」
「山田君の入部が二学年の始業式の日だから、その前は一学年の頃ってことになるけど、特には変わったことは起きて無いね」
「…だよね。僕が入部してから、この短期間に色んな事が起こってるの。これまでは何とかなったけど、この先もっと危険な目にも合うかもしれない。それこそ、僕じゃ対処出来ないほどの……だから、僕がここにいちゃいけないんだよ。わかってくれたかな?」
「じゃあ、この春から私達の周りで起きてる怪現象は、山田君がいるからだって言いたいの!? 私が、そんな中二病みたいな設定を信じるとでも思っているの?……でも、わかったわ」
「僕は中二病じゃないけど、わかってくれたならそれで良いよ。じゃあ、僕は晴れて退部って事で……」
「……違うよ。私達の周りで起きている事が、山田君のせいじゃないって納得させることが出来たら、山田君が部に残ってくれるって事が、わかったんだよ!」
「なに、その無茶無茶な理論。じゃあ良いよ、それで…。納得しなきゃ良いんだし」
「じゃあ今から私が最強のカードを切るけど、山田君……納得する準備は良い?」
「……いや、納得しないけど」
「いくよ!春からいろいろ私達の周りで起きているのは、私達が中学の二学年になったからだよ!……つまり、『中二病』になったからなんだよっ!!!」
「…………」
「…………」
……ハッ!まさか、毛利さんから学年成績一位とは思えないおバカ発言が飛び出すとは!ビックリして一瞬固まってしまった。そうだった。毛利さんは皆が認める生粋のオタクで、中二街道を全力で爆走しているような人だった。
実は、僕には狐さんが憑いていて、それが良くないモノを引き寄せているのではないかと言う根拠がある。最終手段として、その事を話せば皆を納得させられると思っていたのだが……
絶対、『中二病』呼ばわりされるやつじゃんっ!
僕の最強カード、切れなくなったじゃんっ!




