23.
秋の夜長……夜が長い。涼しさと共に体力、0/100 から 5/100へと回復した僕。再びペンを執るのであった!
――自分事ですんません。5ヶ月ぶりです^^;
――夕刻、
部活の終わる時間になると、武田さんを自宅まで送り届けるという生活が始まった。僕の家とは逆方向になるのだが、何かに狙われているかもしれない武田さんを一人帰らせるわけにもいかない。
そもそも、武田さんが熊谷君や他のメンバーに相談しない理由が、皆に余計な心配を掛けたくないという事らしいので、歴史探索部の皆に頼るわけにもいかなかった。
「ごめん山田、わざわざ遠回りまでさせて……」
「大丈夫だよ。部活帰りの夕暮れ時が一番危険と思うから、武田さんを一人で帰すわけにもいかないしね。一応、彼氏だし。武田さんは僕が絶対に守るから安心していいよ」
いざとなったら狐さん頼みなんだけども。
「……山田、アリガト♡」
そう言って、わざとらしく薄っぺらい胸をおしつけ僕の肩に抱き着く武田さん。
これって、役得………なのか? ま、まぁ、彼女は以前はバレーボール部のエースで、今までは運動の邪魔になるから発達してこなかっただけで、これからの歴史探索部の彼女の成長に期待だっ!
「山田、今、失礼なこと考えてなかった?」
「…か、考えてないしっ!」
……なぜバレた!? 僕、今、失礼な事を考えてる顔してた?……って、失礼な事を考えてる顔とは一体……?
そうして、武田さんの家まであと少しのところで辺りは暗くなり、突如、ソレはやってきた。
背後に何か得体のしれない存在を感じる気味の悪さで、背筋がゾクゾクするあの感じだ。隣の武田さんも背筋をゾクリとさせていた。
すぐさま振り返り、ハナコモードにチェンジして武田さんとソレの間に割って立つ。
ソレは、数メートル先の暗闇に立つ黒い影で、死神の持つ鎌のような巨大な鎌を持って立っていた。
いつ襲いかかって来ても良いように、ファイティングポーズをとって数秒ほど対峙すると、ソレは暗闇に溶けるように消えていった。
「……助かったぁ、山田さんきゅ♡」
「いあ、何もしてないし、退いてくれて良かったよ」
「それでも、わたし1人だったらタダではすまなかったと思うし、山田、わたしと一緒にいてくれて有難う!」
そんなふうに礼を言われると、僕も素直に嬉しい。
狐さん曰く、奴は狐さんの存在を感じ取って逃げて行ったらしい。僕のハナコモードは無意味だったというわけだ。因みにハナコモードとは、今は亡き愛犬ハナコが僕に憑依した状態のことだ。
あのモードになるだけで色々と削られるんだよなぁ。体力的にもだけど、特に僕の精神が……見た目、犬っぽくなるらしいし。
武田さんの自宅前へと到着した。
無事、武田さんを送り届けたわけなのだが、ふと、さっきの奴がまた戻って来て武田さんを襲うんじゃないかと聞いたら、この屋敷は強力な結界に護られている為、大丈夫なのだとか。
一応、狐さんにも確認したところ、狐さんでも入るのを躊躇うほど超強力な結界なんだって。それって超安全ってことじゃないか。
到着した時に気付いていたけど、この『お屋敷』そう、お屋敷なのだ。白い壁の外壁がどこまでも続く武家屋敷のような建物。門も立派で、門の横に掛けられている表札には、『熊谷・・』うん、これは見なかったことにしよう。
それから数日、武田さんとの下校中に奴が現れることもなく、無事に週末を迎えた。土曜日の午前の授業が終わり、部長の毛利さんに「僕と武田さん今日は部活休むから」と伝え、なぜか「週末デートいってらっしゃい」と見送られながら学校を後にして、そのまま現地へと向かった。
そして現地、武田さんが声を聞いたという問題の場所がある少し手前まで来たところで武田さんとは一旦お別れ。ここからは別行動をとる。というのも、このまま僕が一緒に行くと、この間の奴が狐さんを警戒して現れない可能性があるのだ。少し心細いかもしれないが、武田さんには一人で行ってもらい、奴が現れたところで対処する。
なので、僕は予め目星をつけていた場所まで移動して茂みに身を潜めるとメールを一通送信する。
これで準備完了だ。




