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作戦会議

 竜也の正体アイドルを桃瀬さんに話す。普通に考えたら、伝えるだけで良いだけなんだけど……下手に動けば竜也が振られるかもしれない。最悪、転校になるパターンだってある。

こんなハードルが高過ぎる案件、僕一人で解決出来る訳がない。

言ったらあれだけど、僕は料理以外は低スペック君だ。

だから関係者が集まってカラオケで会議をしています。参加者はボク・秋吉さん・徹・夏空さんの四人。


「気になるっている男の子が、実は推しのアイドルでした……普通、信じられないだろうし、下手すれば不信感が募るだけだよね」

桃瀬さんは、スリーハーツファンを公言している。しかもユウ推しだ。

 それは竜也も知っている。知っていて黙っていたのだ。

(竜也の性格からしたら言えないよな)

 竜也は芸能人の力を使って、美味しい想いをするって事がない。基本、真面目過ぎる程、真面目な奴なんだ。


「ラッキーで終わる訳ねーよな。最悪は竜也の正体が学校にばれるパターンだ」

秘密は知っている人が多ければ多い程、ばれる可能性が高くなる。

そこに悪意がなくても、AさんはBさんを信じて話す。BさんはCさんを信じて話す……結果、周知の事実になってしまう。


「スリーハーツのユウがクラスメイトだったなんてバズる良いネタだよ。無節操に食いつく馬鹿は沢山いるよ」

夏空さんの言う通りだと思う。僕はバズる事より、友達の竜也が大事だから言わなかっただけなんだし。


「前に竜也がジュンとのツーショットをグループライソに上げてくれた時も大騒ぎだったしね」

秋吉さんのライソ絡みでグループライソが炎上していた時に、夏空さんからキラーパスが飛んできのたのだ。

そこで僕が空気を読めない事を言ったから、ライソはお通夜状態に……そこに竜也が助け舟を出してくれたんだよな。

(あの時は偶然撮れたなんて思っていたけど、同じグループなら簡単に撮れるよね)

後から聞いた話だと撮影終わりに撮ってくれたらしい。だからユウじゃなく竜也状態だったとの事。


「あれ上手く加工したらしいそ。竜也の背を少し小さくしているんだってよ。ついでに眼鏡のレンズも濃くしているらしいぜ」

そこまでして、助け舟をだしてくれたんだ。今度弁当作ってこなきゃ。


「沖田君が対抗して『俺、ストボの読モなんだぜ』って言い出して、話題がそっちに移ったんだよね」

今考えれば沖田君に同情する。陰でマーチャントグループと人気アイドルが動いていたんだよね。雑誌がどっちの味方をするかなんて明白だ。


「漫画とかで良くある話だけど、実際はどうなんだろうね。両得って喜ぶものなのかな?」

僕には推しのアイドルはいない。ユウのファンだけど、それは竜也が友達だからだ。

 女性のアイドルは誰か誰だか分からない状態です。


「難しいところよね。五月位ならまだ良かったけど、陽菜相取君と仲良くなっているし……すんなり受けいれるのは、難しいと思うんだ。ファンだけに変に気を使いそうだし」

 秋吉さんの言う通りだと思う。しかも、桃瀬さんは学校だけでなく陸上界からも期待の掛かっているアスリート。竜也までは、いかなくてもかなり忙しい筈。


「……それにしてもスリーハーツの曲っていっぱいあるんだね。カラオケで竜也が歌えば、気付いてくれるかな?」

 問題はカラオケだと僕が盛り上げられないって事だ。竜也プロの前で歌うなんて絶対に無理です。


「信吾、それありだぞ。カラオケで自分の歌はやり過ぎだけど、桃瀬さんが自分から『相取君って、もしかしてユウかも?』って思わせるのが一番だ」

 ……自分の友達が実は芸能人かもって思うシュチエーション……そんな場面あるか?


「カラオケ以外でユウだと思わせる……ドラマのセリフを言ってもらうとか?」

 かなりコアなファンじゃなきゃ気付かないと思うけど。


「切っ掛けがあれば良いのさ。何て言ったって、竜也はユウ自身なんだし。実、桃瀬さんと話す時にクラスの男子で有名人に似ている人みたいな話題に持って行けるか?その時秋吉さんが『相取君も誰かに似てるよね?』って合わせてくれる?」

 大事なのは桃瀬さんの頭に疑念を持たせる事らしい。


「分かった。あたいの場合、あんたの話が出ないと不自然だよね。徹が似ている有名人……パンダ?」

 夏空さん、確かに似ているけど人じゃないです。でも、似ている芸能人を探すのって、案外難しい。


「僕が似ている有名人……お笑いの人に似ているって言われた事はあるけど」

 僕等と年が近くて有名な人ってなると、俳優やアイドルになる。いわゆるイケメン枠だから、この人ってのが浮かばない。

(漫画の脇役ならいそうだけど、桃瀬さんに通じないと意味がないもんな)

 主役?僕みたいなモブが漫画やラノベの主役になれる訳がない。


「信吾はあれだろ。マルコナ味噌のマーク。あれに髪が生えれば、そっくりだぞ」

 うん、地味顔な僕が似ているのは、それ位だよね。


「……その辺は女子とかも混ぜてやってみるよ。でも、そこからどうするんだい?」

 夏空さんの疑問はもっともだ。それだけだと似ているで終わってしまう。


「タイミングを、見てこのホームページを桃瀬さんに送ってくれ。新しく始めたキャンペーンだ。夏のポスターが評判良くて、またお願いしたんだよ」

 それは夏に六人で海に行った時に泊まったホテルのホームページ。


「秋の夜長、都会の喧騒から離れて癒されませんか?送迎あり、朝食セットプラン……本当にやったんだ」

 そこに映っていたのは、海が見える部屋でコーヒーを飲むユウ。舞台はもちろんマーチャントグループのホテル。


「終電後にも都内から送迎バスを出す事にしたら、結構好評なんだぜ。午前中はゆったりしてもらって道の駅で買い物をしてもらうんだよ」

 ホームページには、あの時のポスターも映っている。撮影の日付とユウのインタビューまで載っていた。


「あたい達がエステ受けている間に、ポスターを撮っていたんだ。良里、無関係じゃん」

 秋吉さん、良く分かったね。蚊帳の外過ぎてぼっちになっていました。


「きちんと色々還元しているぞ。後はラジオで百瀬さんも分かる日常エピソードを話してもらう。俺等が聞くと、あの話だってのが結構あるんだよ……コックを目指す高校生とか」

徹は、そう言うと、僕を見てニヤリと笑った。心臓に悪いっての!アプリで過去の放送聞けるんだぞ。


「偶然も何回も続けば確信になるか」

 僕の何気ない提案で、ここまで計画出来るのか?いや、多分、徹の中で腹案が出来上がっていたんだと思う……用意周到過ぎて怖いんですが。


「しめはランチ会だな。スリーハーツが秋の味覚を集めて料理するって企画があるから、そこに出てくる料理を竜也に作ってもらう。残りは信吾頼んだぞ」


 とりあえず、スリーハーツが集める素材 

タカ・じゃが芋(北海道)伊勢海老(三重) 

ジュン・カツオ(静岡)ナス(高知)  

ユウ・蓮根(茨木) リンゴ(青森)


(竜也、青森に行くんだ……うん?)

 なんか照れ臭いなって思いながら、見てみたら驚いた。竜也が行くの、婆っちゃが手伝いに行っている畑じゃん。

当該地域の方でお勧めの郷土料理はありますか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 青森は南部と津軽でかなり違うらしいけど、ねぶた漬けと貝焼き味噌は個人的に外せない
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