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先輩の教え?

なんとかモチベーション回復 

 秋の味覚……栗・かぼちゃ・きのこ・リンゴ・さつま芋・鮭・サンマ……秋は色んな物が旬を迎える。

 だから余計に絞れなくなる訳で……しかも、今は晩夏と初秋の間。売っている秋の味覚も限定されてしまう。

(下見に行ってみるか)

 今日はバイトが休みなので、帰りにマーチャントスーパーに寄ってみよう。


「信吾、また料理の事を考えていたろ。全く、他に興味がある事はないのか?」

 またとは何だ。僕だって料理以外の事も考えているぞ。秋吉さんの事とか……でも、それを教室で言う度胸はないです。

 でも、何とかして反論したい。僕にだって料理以外の事にも興味はあるんだぞ。


「確かに、ランチ会のメニュー事を考えていたよ。でも、僕だって他に興味がある事はあるんだぞ。産地の天気とか……後は調理器具の事とか」

 思わずトーンダウンしてしまう。マジで他に思いつきませんでした。僕の青春、灰色過ぎない?


「信吾君、それ全部料理の事だよ。この間も調理器具のパンフレットを読んでたもんね」

 竜也の生暖かい視線が痛い。


「それで目星はついたのか?」

 徹、僕は漫画の主人公じゃないんだよ。そんな簡単に閃いたら苦労はしません……今からこんな感じで、将来新メニューとか考えられるんだろうか?


「まだ、だよ。決める為に、一回マーチャントスーパーを下見に行こうと思うんだ。丁度、今日はバイトが休みだし」

場合によっては試作を何品か作る必要がある。味の組み合わせは大事だし、一通り作ってみなくちゃ。


「……祭ちょっと来てくれるか?」

 徹はなぜか友達と話している夏空さんに声を掛けた。確かに夏空さんもランチ会のメンバーだけど、わざわざ呼ばなくても良いと思う。いくら彼氏とは言え、話を中断させるのはアウトだと思う。


「徹、なんだい?」

 ぶっきらぼうに答えているけど、夏空さんは嬉しそうな顔をしていた。

 それを見た夏空さんの友達はニヤニヤしている。僕の感覚がずれているのか?


「信吾がランチ会のメニューを決める為にマーチャントスーパーに行くんだってよ……頼めるか?」

 頭の中が疑問符で埋め尽くされる。それで通じるの?


「分かったよ。確かに良里で行かせるのは不安だもんな。実、ちょっとこっちに来て」

 でも、夏空さんには通じたらしい。なんで秋吉さんも呼ぶんでしょうか?

 ちなみに秋吉さんはリア充グループとお話中。

 

「祭、なに?」

 夏空さんに呼ばれた秋吉さんは、躊躇う事なくこっちに来てくれた。

 友達なつぞらさんが呼んだのが大きいと思うけど、少し嬉しい。


「徹、買い物位一人で行けるよ」

 僕は、小学生じゃないんだし。それに僕は賄いの食材を一人で買いに行っている。


「お前、一人だと暴走する危険性があるんだよ。試作だなんだって言って、とんでもない量を作りそうだし」

 僕って、そんなに信用ないの?確かに良い食材を見るとテンションが上がるけど。


「実、前に雪華さんに言われた事を覚えているだろ?きちんと手綱を握るんだぞ」

 夏空さんまで?僕は、そんなに信用がないんでしょうか?


「任せておいて。あの一週間で、信吾君の性格はよく分かったから。信吾君、授業が終わったら、一緒に帰ろう」

 ……つまり、秋吉さんと二人でマーチャントスーパーに行けと……皆、ありがとう。


 見る人が見たら、これは放課後デートになると思う。そう思いたいのは、僕だけかもしれないけど。


「何回来ても緊張するね」

 秋吉さんはそう言って笑うけど、僕は二人で歩いている時から緊張していました。だって、贔屓目に見たらデートなんだもん。


「前に来た時、会員登録をしたら、凄く怪しまれてたけど、今考えたら当たり前だよね」

 グループ経営者の息子からの紹介状を持った高校生。あれは悪戯だと思われても仕方がない。


「まさか庄仁君が、マーチャントグループの跡取り息子だったなんて。しかも、祭と付き合っちゃうし。同じクラスに超お金持ちの子供がいるなんて漫画みたいな話だよね」

 他にアイドルもいるんだけだね。徹は夏空さんに竜也の事を話したんだろうか?


「秋吉さんは、秋の味覚って言えば何が好き?」

 どうせ食べてもらうなら、好きな物を作りたい。他の人には、ライソで聞いておこう。


「さつま芋かな?信吾君は、やっぱり林檎?」

 確かに婆っちゃや、青森の親戚から毎年林檎をもらっている。


「確かに林檎は好きだけど、生で食べるのが一番美味しいんだよね。秋の味覚って美味しいから、あまり手を加えない方が美味しい物が多いんだよね」

 さつま芋も焼いたり、ふかしたやつが美味しい。シンプル故に料理人の腕が問われる。

 家で作っても同じ味じゃん、なんて言われたら料理人として立つ瀬がない。


「そう言えば、そうかもね。凄いキノコの数。見た事ないやつもあるよ」

 流石はマーチャントスーパー。色んな種類のキノコが揃っている。しめじだけでも、何種類も置いていた。


「これはサモダシ!やるな、マーチャントスーパー……すいません、これ定期的にありますか?」

 サモダシ、正式名称はナラタケ。東北や北海道で良く食べられているキノコで、地域で呼び方が違う。


「信吾君、一回落ち着いて。そのキノコ美味しいの?」

 久し振りに見た食材に思わずテンションが上がってしまいました。でも、これで方針が決まった。


「癖が少なくて食べやすいよ。僕は味噌汁が好きかな……丹波栗に坊ちゃんカボチャもある。紅はるかも、いいのが置いてある。鮭児もあるのか!」

 これはお金をおろしてこなければ。思わず速足になる。。


「はい、ストップー!信吾君、皆に言われた事を忘れてないよね?」

 何かで叩かれたと思ったら、秋吉さんが手に丸めたノートを持っていた。


「はい、忘れてません」

 正確に言うと、今思い出しました。


「なら、よろしい。今度はゆっくり見よ」

 今度は秋吉さんが先頭になって進む。なんか義斗兄ちゃんと雪華さんみたくなっています。

この作品って、どんな人が読んでくれているんだろ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 中学生
[一言] 読者層かー、 私の話をするなら真面目にやっている人が報われる話が好きな人、かな?
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