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夜の電話で元気百倍 シンパンマン

 昼ご飯を終えて、引き続きショッピングに……二人共、凄く活き活きしています。

 若者向けで安価な物が多い上に、徹がバックにいるお陰でお得に買い物が出来ている。

(割引させても恩着せがまし態度を取らないんだから、凄いよな)

 徹は二人が見ていない所で店員に話し掛けて、割引をしてもらっている。しかも二人に気付かれない位の割引だ。中には、徹自身が負担しているお店もあった。

 僕だったら、絶対にアピールしまくっていると思う。


「徹も重そうだね」

 徹は両手にエアバッグを抱えている……マーチャントグループの御曹司に荷物持ちをさせられるのは、夏空さんだけだと思う。


「お前も人の事、言えないだろ」

 秋吉さんはアルバイト代を大切に貯めていたらしい…結果、僕の両手にも沢山の買い物袋があります。


「まだ、大丈夫だよ……二人共、嬉しそうだね」

 秋吉さんも夏空さんも夢中になって買い物をしている。見ているだけで、こっちも嬉しくなってくる。そんな笑顔だ。


「お前は何も買わなくて良いのか?今なら割引してやるぞ」

 割引か……有難いけど、パスさせてもらいます。


「もう少し自分に自信が持てたらお願いするよ。今日欲しい物は、割引が効かないと思うし」

 ここの服は僕にはお洒落過ぎます。着こなす自信がありません。


「欲しい物?まさか、また調理器具か?」

 またって、そんなに調理器具は買っていないぞ。でもエスプーマは欲しいです。


「CDだよ。この間、スリーハーツのCDが出たでしょ?」

 普段はCDを買わないけど、親友りゅうやの物なら話は別だ。応援もしたいし、買っておきたい。


「そう言えば、この間発売したんだよな。竜也は『恥ずかしいから買わなくて良いよ』とか言っていたけど、バレななきゃ問題ないか」

 今回のCDには、竜也が一人で歌っている曲も入っている。どんな歌か楽しみです。


「そういう事。機械は昔父さんが使っていたやつがあるし。この間のお礼って事にしておけば、秋吉さん達も怪しまないでしょ?」

でも、かなり売れているらしく、今更僕が買ってもって話もある。それでも、応援したいのだ。


「だな。丁度、CDは同じフロアで売っているから見てくるか」

 秋吉さん達に一言伝えて、CD売り場へ……うん、だから買わなくて良いって言ったのか。

 CD売り場にはスリーハーツのポスターが張っていた。しかも、素肌にジャケットといいうかなりセクシーなやつ。


「竜也、頑張っているね。流石は魅せるプロだ。僕には絶対に無理だよ」

 普段とのギャップがあり過ぎて、誰も竜也とユウが同一人物だと気付かないと思う。


「俺とお前の裸ジャケットなんて需要ないっての。アイドルだけじゃなく、芸能人って大変だと思うぞ。常に偶像を演じてなきゃ、駄目なんだから。だから、学校にいる間だけでも素の竜也でいさせてやろうぜ」

 徹の言う通りだ。何も特別な事じゃない。今まで通り竜也と友達でいれば良いんだ。


「そうだね。そう言えば、海に行っても日焼けアウトなのかな?」

 ドラマ撮影とかしていたら、日焼けしたらまずいだろうし。竜也と二人でトランプでもしていようかな。


「その頃には撮影が終わっているらしいぞ。でも、もう少ししたら、コンサートの準備が始まるらしいぜ。あっ、これは内緒な」

 流石はマーチャントグループ、事前情報を知っているんだ。

今の会話で思い出した事がある。前も徹は竜也のドラマの事を、漏らした事があった。あれは僕を試していたんだろうか?


「二時間近く歌って、踊るんでしょ?スタミナがつく物でも作ろうかな?」

 出来れば消化が良くて、カロリーの低い……そんな料理あるんでしょうか?


「頼むぜ……さて、そろそろ戻るか」

 結果、今日は荷物持ちで終わりました。でも秋吉さんも夏空さんも、嬉しそうだったから良しとしよう。


 もう少しで夏休み。でも、その前にはテストがある訳で……。

 当然、秋吉さん達はテスト前なのでアルバイトを休んでいる。でも、僕にそんな権利はない。


「マッシュポテト、出来ました。そのまま、シンクの洗い物に入ります」

 今日も必死で爺ちゃん達に喰らいついています。勉強はアルバイトが終わってからしているけど、ぶっちゃけ自信はありません。

 でも泣き言は言っていられない。竜也と徹も同じ条件で頑張っているんだ。

(二人の方がもっと大変だよね)

 竜也はコンサートのレッスンだけじゃなく、普段の仕事もある。徹は良い成績をとって当たり前みたいな立場なんだし。

 今の僕は鋼の意志を持っている。どんな誘惑にも勝って見せる。気合を入れ直して、参考書を開く……同時にライソの音がした。

(秋吉さんからだっ!しかも通話じゃないか)

 秒で前言撤回して、ライソに出る。秋吉さんの声は僕の心の必須栄養素なんです。


『信吾君、今大丈夫?今日もアルバイトだったんだよね?』

 問題ありません。僕の中で秋吉さんとの会話は、最優先事項になっています。


『大丈夫だよ。勉強していて、少し休もうと思っていた所だし』

 小休止と書いて気合いの入れ直しと読みます。この後、頑張るから問題なし。


『信吾君も勉強していたんだ。ごめんね。誰かとお話したくて』

 やばい。涙がでそうになってきた。多分、もう夏空さんとかに言っていると思うけど、テンションが上がる。

(そう言えば織田君の家って、秋吉さんの隣なんだよな。一緒に勉強して……ない、ない……ないよね)

 ネガティブな妄想が浮かんできたので、頭を振って否定しまくる。秋吉さんは部屋に誰かいるのに、電話してくる様な人じゃない。


『正直言うと、集中力が切れ掛けていた所だったんだ。僕も……良い気分転換になるし』

 僕も秋吉さんの声が聞きたかったと言い掛けて、強引に言い直す。秋吉さんは誰かと話したかっただけ。決して僕を指定した訳ではない。


『良かった。ねえ、明日アルバイトお休みだよね?良かったら一緒に勉強しない?……その、私の部屋で……』

 神展開きたっ!つまり秋吉さんの部屋に入れると……焦るな、僕。まだ二人きりだと決まった訳じゃない。


『良いの?それならサンドイッチか何か作って持って行こうか?何人分あれば良い?』

 ナイス、機転。これなら自然に人数を聞ける。


『そんな気を使わないで良いよ……でも、五人分あったら、嬉しいな』

 五人?僕、秋吉さん、秋吉さんのご両親……もう一人誰?

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― 新着の感想 ―
[一言] ちょうどいいところで話を切るなんて・・・くっ! 早くぅー 次の話を出してー チン☆⌒ 凵\(\・▽・) まちくたびれたー!!
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