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第1話 デカ女と呼ばれて

☆☆☆☆☆は場面転換です

よろしくお願いいたします

「やーい、デカ(おんな)!」


 私――エリカ・エリントンは幼い頃から、いつもそうやってからかわれてきた。


 同世代の男の子を遥かに上回る長身。そして引っ込み思案な性格が災いしたのか、幼い私は参加すると言った覚えのない「()()退()()()()()」の怪物役にされて、いつも追い回されていた。


 娯楽の無い小さな村だ。きっと村の男の子たちにとってそれは、数少ない娯楽の一つだったのだろうと思う。けれどもそうやって「怪物のようなデカ女」扱いされるのは、幼い私の心に多くの傷を残した。


 最初はかばってくれていた女の子たちも私がだんだん「異質なデカ女」として扱われることに慣れてきたのか、それとも彼女達もそう思い始めたのか、私を放り出して遊びへ行くようになった。


 家族は私に優しかったが、相談相手にはなりえなかった。

 なにせ、私以外の家族は皆いたって普通の身長――それどころか平均よりも小柄なくらいで、幼い私は男の子たちのからかいを真に受けて「もしかして本当に拾われてきた怪物の子なの?」と悩んでいたからだ。


 悩んだ。悩んだ悩んだ悩んだ。

 幼いなりに状況を好転させたかった。

 私も皆と一緒に楽しく遊びたいと思った。


 だから変わろうと思った。

 そう、身体を鍛えることで――。



 ☆☆☆☆☆



「逃げろお! 巨人が来るぞ!」

「うわあああっ! デカ女様、命だけは助けて!!!」

「デカ盛りビッグマウンテンだあああッ!?」


 ――結果から言いましょう。身体を鍛えたのは失敗だったわ。


 人並み外れた体躯に加え、良く鍛えられた肉体を手に入れた私をいじめる者はいなくなった。……いなくなったのだけれども、それ以上に私は以前にも増して化け物のような扱いを受けるようになった。


 かつて私を見つけると嬉々として石をぶつけにやって来ていた男の子たちが、今ではご覧の通り半狂乱で逃げ出す有様よ。当然女の子だって寄り付かない。


 並べられる言葉と言えば「デカ女」に加えて「巨人」だの「巨山」だの「重量級」だのといった、ちっとも可愛らしくない称号ばかりで、はっきり言って一応年頃の乙女である身としては傷つくことばかりだった。


 ……一つ訂正したいのだけれど、「重量級」というのは男の子が勝手に言っているだけで、私自身は鍛えていると言ってもしなやかな筋肉の付きかたをしており、いたって細身なのだ。念のため。


 ともかくそういった具合で、はっきり言って故郷の村というのは私にとって良くない思い出が詰まっており、非常に居心地の悪い所だった。


 ――だから十五の春を迎えるころ、私は村を出ることにした。


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