【婚約】交差点近くのモニュメントには無限の婚約があふれている
今日はクリスマス。町はクリスマスツリーや装飾でお祝いムード一色だ。
そんな光に包まれた明るい道をどんより一歩また一歩踏みしめる女性が私だ。
こんなにもこの町を住みづらいと感じたのは今日が初めてだった。
私には付き合って3年の彼氏がいる。
彼は、営業成績は毎年トップのセールスマンだ。
その実力を見込まれ、彼は爆速で昇進していった。
付き合って毎年欠かさず行っていたクリスマスパーティを今日はできない。
彼は仕事をすぐに終わらせるからと言っていたが、いまだにメールが帰ってこない。
待てなくなった私は外へ出て彼の職場へ向かう事にした。もうクリスマスが終わる時間だというのにどうしてだろう。
「ピコン!」
私のポケットの中から音が元気よくなった。
スマホをすぐに手に取り、内容を確認した。
「今日は仕事が終わりそうにないんだ。すまないクリスマスパーティはできそうにない。」
メールの内容に愕然とした。少しの希望が絶望に変化する瞬間だった。
「ひどい、ひどいよ。必ずパーティをするって約束したじゃない。」
突然涙が止まることなく、あふれ出してきた。
今日は少し雪がパラパラとしている日であったのに私だけ今日はホワイトクリスマスではなかったようだ。
「帰ろう。」
私は家へと引き返し始めた。
「ピコン!」
「何?」
スマホの画面に視線をよせた。
彼からのメールだ。
「少し時間があるかい?あったら例の交差点まで来てほしい。」
「今外出中でその近くにいるけどどうしたの?」
例の交差点は私が彼から告白された場所だ。この交差点の近くに恋愛成就の神の銅像が立っていた。
「来たよ。今銅像の前だよ。」
「じゃあちょっと待ってて。」
「うん」
「だーれだ。」
私の視線が突然真っ暗になった。最初は動揺して躊躇していたが、あの温かい声はすぐに彼だと分かった。
「ごめんね。こんな時間になっちゃってはいクリスマスプレゼント。」
「えっこれって指輪?」
「そうだよ。結婚しよう。一番大事な日この場所でそう伝えたかったんだ。」
「私が来なかったらどうしたのよ。あなたってホントバカなんだから。でもこんな私を信じてくれるおバカさんを、私は放っておけないわ。いいわ結婚しましょう。」
クリスマスはお互いの心と心をつなぐ日だ。
会いたい会えないこれほど考える日はこの日しかない。
「メリークリスマス」
「ああメリークリスマス。来年も再来年も死ぬまで。」
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