№20 田中絵馬の手記より
絵馬かく語る。
私達が異変に気づいたのは、つい今しがたのことか、それともずっと昔の事か・・・だが、そんなことはどうでもいい、気づいたのだ・・・そう知ってしまったのだ。
この世界の異変に、着実に世界はその様相を変えてきた。
その引き金を引いた原因は何か、そんな事は神のみぞ知る・・・だ。
ただ、アニメ研究会の合宿にこの地に訪れたことからすべてがはじまったのである。
同じ日が繰り返す。
何度も・・・何度も・・・この幾度ともなく繰り返されたアニメの特殊回に用いられる非現実の信じられない出来事が実際、起こっているのである。
だれがトワイライトゾーンに足を踏み入れたのか・・・それとも私たち全員が飲み込まれてしまったのか。
考えれば考えるほど深みに変わっていく。
ひょっとして誰かの夢の中なのか・・・それともみんな?町全部が・・・日本が・・・世界がそうなっているのか。
誰かの陰謀、他国が開発した精神兵器?
それともここから異世界ファンタジーでもはじまろうというのか。
変わらない気候。
変わらないカレンダー。
変わらない夏合宿の日々。
そして海の家の労働。
結局、疲れて寝るだけ。
そして繰り返す。
異変、停滞する異常事象から脱するべく抗う道は模索すべき・・・それは否かもしれない。
この事象に首を入れることは身を滅ぼすことにもつながりかねないのではないか。
人は知らなくていいことがある。
パンドラの箱をあけてしまえば、そこに待つのは絶望しかないのだ。
そんなリスクを冒せるか・・・やる必要はあるのか。
アニ研のみんなとの楽しい日々。
・・・海の家の強制労働はかなりの苦痛だが。
一日中、康治と一緒にいられる喜び。
これらを覆してまで、時を再び動かす必要はあるのか?
私はとうてい承服しかねる。
だからといって、いつまでもという訳にはいかないのも分かっている。
だが、今は・・・今だけでも、この異現象の摂理に身を任せてもいいのではないだろうか。
しかし、みんなは決意した。
明日といっても、今日だが・・・この謎に敢然と挑むことを・・・。
私はこのままでもいいと思う。
超常現象が起こした変わらない一日は、触れてはならないアンタッチャブルなものである可能性が高い。
しかし、明日は必ずやってくるものだ。
ここにおいては私心を捨て、すべての謎を解き明かそう。
その先に待つのは邪か真かいずれの答えであったとしても・・・。
みんなとやれば怖くない。
なにも。
なにもだ。
これから訪れるであろう幾多の艱難辛苦を乗り越えた時っ!
私達はあの懐かしき沖福へと帰るのだ。
田中絵馬
謎めく世界。




