№3 莉子部屋のひととき
つかの間のくつろぎ。
2人は二階の莉子の部屋にいる。
「ま、くつろいでよ」
机の椅子に座る莉子が言った。
「ああ、すまない」
シャロットは彼女のベッドに腰掛ける。
「なんか、変なこと・・・いや、上手くいっちゃってるね」
「そうだな・・・でも、いろんな事がありすぎた」
「そうね・・・少し整理する?」
「ああ」
シャロットは頷く。
「分かった、ここが私と康治が住んでいた世界。戻って来た日が・・・」
莉子は話を止める。
「うん」
「あいつが私に告白した日」
「ああ」
「邪魔したでしょ」
「・・・つい、すまない」
苦笑いをみせるシャロット。
「ま、いいわ。告白の頃となると高校二年の春ね」
「こうこうにねん?」
「学校に通っているの。ハイスクール分かる?」
「なんとなく・・・」
「じゃ、ざっくり言うわよ。私たちは、高校2年生、あいつも同じ。ちなみに告白は未遂に終わったから、フラットね」
莉子は両手で平線をつくる。
「そうか、じゃ、これからだな」
「私のアドバンテージはないわね。条件は互角よ」
莉子はちょっぴり恨みがましく言った。
「ああ」
シャロットは頷く。
「言っとくけど、ここ(日本)は一夫多妻制じゃないから・・・あいつに選ばれるのは一人」
「望むところだ」
「ふふふ」
「ははは」
2人は笑った。
「よろしい」
莉子は言った。
2人は顔を見合わせると、また笑った。
階下で母が呼ぶ。
「莉子っ、シャロちゃん、お風呂沸いたわよ~入りなさい」
「はーい」
莉子は返事をする。
「旅の疲れに告白未遂に追いかけっこ、ひとっ風呂浴びますか」
莉子はウィンクする。
「ああ」
シャロットは目を伏せた。
「はあはあはあ」
隣の部屋で荒い声をあげているのは絵里。
「ゾワッとした」
シャロットはぶるぶると身震いをする。
「風邪でもひいた?お風呂でしっかりあったまろう」
莉子は彼女の顔を覗き込んだ。
「ああ」
「はあはあはあはあはあ」
妹の声は大きくなるばかりだった。
はあはあ、もんすたあ。