№15 密談
密談。
乙女たちと男どもがいざこざに巻き込まれている最中、江洲田と露利田は事務室にいた。
「3日だったわね」
江洲田は難しい顔をして言った。
「ええ、合宿は3日です」
露利田は答えた。
「もったいないわね」
「と言いますと」
「今日の売り上げ5倍よ・・・こんなの海の家はじまって以来の快挙よ」
「それは、すごいですね」
「そう。あの娘たちの力・・・そして注文をさばけるあなたたちの技量・・・恐れ入ったわ」
「恐縮です」
「・・・うん、すごく、もったいない」
「・・・・・・」
「・・・なんとかならない?」
「と言いますと?」
「合宿の日数を延ばせないかしら」
「それは・・・」
「給金ははずむわよ」
「・・・本当ですか・・・だけど、どうやって」
「ふふふ、私に考えがあるわ」
そう言うと江洲田は露利田に耳打ちをした。
「それは・・・うまくいきますか?」
「うまくいかせるのよ・・・安君は借金返済したくないの?」
「・・・それは勿論ですが」
「だったら、叔母さんにまかせなさい」
「・・・・・・」
「きっとうまくいくから」
「そうでしょうか?」
「私は元演劇部、あなたはヲタク・・・役に入るのは得意でしょ」
「それは・・・」
「やるの、やらないの?」
江洲田はすごんだ。
「・・・やるべす」
露利田は苦渋の決断をした。
「ふふふ、決まりね」
彼女は妖艶に笑った。
2日目、慌ただしい海の家の仕事は半ドンで終わった。
拍子抜けする一同に、江洲田は言った。
「今日はね、祭りがあるの。店を開けていても地元のお客さんは、ほとんど来ないからね。この日ばかりは商売にならないの。私一人で大丈夫だし、せっかくだから祭りをみんなで楽しんできなさい」
「はいっ!」
「いってきまーす!」
と、みんなは飛びあがって喜び、祭りへとでかけた。
一人残った江洲田は呟く。
「ふふふ、今の内、せいぜい楽しんでおきなさい」
談密・・・言ってみた。




