№11 部長の陰謀
こんなのあるよね~。
夏休み前。
沖福学園アニメ研究会部長、露利田は窮地にたたされていた。
アニフェスで大量同人誌の制作し販売するも、全く売れず高校生にして借金生活をおくることになった。
(いかにすべきか・・・)
万策をつき果て、部長は苦悩に顔を歪める。
その時、スマホに電話が入る。
「江洲田叔母さん・・・はぁ・・・バイト?おんなの子・・・あてはありますが・・・バイト代ははずむ・・・わっかりました!」
露利田は二つ返事をして引き受けた。
「・・・これで借金返済のメドが立った・・・あとは」
一学期修了式の日、アニ研のメンバーと莉子、シャロット、ホランが部長によって部室に集められた。
「なんで私達まで・・・」
莉子は訝しがる。
「ねえ」
ホランは同意する。
「うむ」
シャロットは頷いた。
「皆の衆、集まったか」
露利田は揉み手をすりすりしながら、愛想笑いを浮かべる。
「なんか嫌な予感」
康治が言った。
「同意」絵馬。
「激しく同意」圭。
「皆の衆、喜べっ!」
「?」
「アニ研、夏合宿だっ!」
「合宿?」絵馬。
「唐突に」康治。
「何?」圭。
アニ研が合宿するなんて話は聞いたことが無く、男3人は変な顔をした。
「いや、うちの親戚のおばさんが海の家と民宿を経営していてな・・・バイ・・・いや、宿泊場所を提供してもらえる事になったのだ」
「ほー」
一同は驚く。
「がっしゅくとは?」
シャロットが尋ねる。
「共に寝食を共にして研鑽をはかることだ」
露利田は答えた。
そっとホランが手をあげる。
「それって、アニ研のお話ですよね・・・私たちには」
部長が首を振る。
「君たちには関係がないと?」
「?」
莉子が彼の真意を探るべく、じっと瞳を見る。
部長はそっと視線を逸らし呟いた。
「功刀・・・康治も合宿」
「!」
「いぐっ!」
乙女たちは同時に叫んだ。
「・・・俺は・・・」
康治が次の言葉を発しようとした時、露利田は素早く彼の首に手を回した。
「なぁ、功刀・・・行くよな」
「・・・俺は」
「メロンたん声優の月島えみりのサイン色紙欲しいか?」
「欲じいっ!」
「じゃ、行くよな」
「いぐっ!」
こうして、海の家編が決まった。
あるある~。




