№10 夏期テスト~夏休みへGO!~
てすと。
アニフェスから一か月が経とうとしていた
沖福学園は夏期テストを迎えていた。
その一週間前、莉子部屋にて。
「てすととはなんぞや」
シャロットは真顔で莉子に尋ねた。
「そこから・・・そっか」
「ホランから聞いたのだ。来週はてすとだから頑張ろうと」
「うんうん」
莉子は頷いた。
「てすととは」
ぐいっとシャロットは顔を近づける。
「わかった。わかった」
「じゃ、教えてくれ」
「学校で勉強したでしょ」
「ああ」
「それが試験で試されるの」
「・・・勉強の試験・・・」
「そう、それがテスト」
「むむむ」
シャロットは難しい顔をする。
「ん?」
莉子は首を傾け、彼女を見た。
「まさか、この世界にも試験があるとはな・・・」
「どこの世の中も、勉強は必要なのよ」
「成程・・・では、莉子。勉強を教えてくれ」
「もちろん・・・で、どこから」
「ん?全部」
「・・・全部?」
「ああ、康治ばかりみていて、授業なぞ聞いていなかった。いわば腰掛け的な・・・」
「ほう」
「えへ」
シャロットは頭をぽかりと叩いた。
「ほう」
莉子の冷たい視線
「えへ」
彼女は愛想笑いを浮かべる。
こうしてテストまで地獄の試験勉強がはじまった。
ざっくりとみんなのクラスでの学歴はこんなもんである。
クラスメイトは40名で、莉子は10位内、康治は20位前後、絵馬は30位、圭はどん尻を争い、シャロット、ホランは未知数であった。
「試験、はじめっ!」
担任の蛭田が開始の合図を告げる。
カリカリとペンを走らせる音だけが教室に響いた。
夏期テストの結果は、莉子が8位、ホランが14位、康治が19位、シャロットは勉強の甲斐あって20位、絵馬31位、圭39位だった。
「ふふふ、康治隣同士だな」
シャロットが満足そうに笑みを浮かべる。
「ああ。そうだね」
康治は頷いた。
「よしっ!」
シャロットは小さく拳をつくってガッツポーズをみせる。
「ふふ」
莉子は思わず笑った。
「莉子さん、流石ですね」
ホランが言う。
「まあね」
絵馬は溜息をついた。
「ヤバいな。来年は進学か就職か・・・」
圭は頷き、
「はたまた行きつく先は、浪人か就職浪人か・・・」
「ま」
みんなは思いを馳せる。
「さっ、夏休みだっ!」
夏休みっ。




