№6 挑発に受けて立つ
挑発。
アーサーは観客の反応に酔いしれる。
やがて、小指を立てて言い放った。
「私こと闇よりの支配者アーサーはここに宣言するっ!沖福学園2年組、鏑木シャロットっ!」
「?」
シャロットは不意に名前を呼ばれ、不思議顔を見せ人差し指で自分を指さした。
「そう、お前だ・・・シャロット・・・私は、私は、はじめて見た時より、そなたを所望したいと思っている・・・我が妻となれっ!」
堂々嫁宣言に、にわかファンから悲鳴があがる。
「一足跳びっ、我が弟ながらキモっ・・・なんか、すまない鏑木」
圭は呟いた。
「あれが圭の弟か・・・鈴木弟っ!」
シャロットはステージの男に向かって叫んだ。
「アタシには、心に決めた男がいる。ここにいる康治だ!」
こちらも堂々宣言で返した。
「わぁ、シャロットさん、だいたん」
ホランは口をあんぐりとあけ驚く。
「やるわね、シャロット」
莉子は苦笑いを浮かべた。
「・・・貴様っ、私の愛の告白をよかろう!では、このバンド大会の勝者により、どっちが正しいのか決着をつけよう」
「無茶苦茶理不尽だなっ!こっちはバンドなんて・・・(したこともないのに)」
康治の言葉を遮りシャロットは言い放った。
「よかろう!」
「はあ!」(沖福一同)
「ふふふ、決まったな!ははははははははっ!」
アーサーの高笑いが、マイクを通して会場に響いた。
沖福のメンバーがブース前の3人娘の所へ集まる。
「なんてことを・・・」
康治は思わず呟いた。
「大丈夫だ」
シャロットは断言した。
「何を根拠に・・・」
絵馬がツッコむ。
「ふふふ」
シャロットは含みのある笑いをみせる。
「勝算ありとみたが・・・だが、うちのアーサー・・・ブラッディ・エンジェルスは某インディーズレコード会社からスカウトが来たり、来なかったりと噂になったほどの実力バンドだぞ」
圭は顔を曇らせて言った。
「・・・どっちなんでしょうか」
ホランがさりげなくツッコミを入れる。
「問題ない!」
シャロットは胸を張る。
「ほう」
露利田は顎に手をあて微笑した。
「なぜなら、アタシたちはあいどるだからだっ!」
シャロットはステージ上のアーサー達を指さす。
「ぶっ!」
莉子はむせこみ、
「あんた・・・まさか」
「莉子・・・アタシ達はあいどる・・・だろ」
ぐいっとシャロットは莉子の顔に近づける。
「・・・うん」
莉子は勢いに圧倒され頷いてしまった。
あいどるだもん。




