春~Spring~ №1 ここからはじまる学園生活
ドキワクの学園生活になると・・・いいな。
光がおさまり、シャロットと莉子の目が慣れてきた。
視界に広がるは現実世界。
シャロットは目をしばたたかせる。
肩まで伸びるブロンドの髪、青い瞳に整った顔、若返りの薬をのんだおかげで、彼女は幾分幼く見える。
莉子はショートヘアで活発を絵に書いたような姿、瞳は大きく、笑顔が可愛らしい。すらりとした身体は、まだまだ発達段階といったところか。
ネイビーブルーのブレザーに赤いネクタイ、左胸には校章のついたワッペン。グレーのタータンチェックの膝上のスカート、私立沖福学園高等学校の制服を2人は身に纏っていた。
2人の前にいるのは、弱弱しくひょろりとした男子学生が、視点が定まらず挙動不審でいた。
桜舞う木の下で、私は胸を高鳴らせる。
今日は友人の康治が、恋人になる日、だって私は知っている2回目だから・・・。
だから今度はちゃんと向き合おう「好き」ってハッキリと伝えよう。
「あのさ・・・」
はにかむあいつ、モジモジしだす・・・ああ、これから10分ぐらいかかったっけ。
「なによ」
私はわざとツンしてみせる。
これも駆け引き・・・でもね、彼の良さはもう知ってるし・・・自分から言っても・・・いやいや・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
「付き合ってください!」
ほら来た。
「う・・・」
「ちょっと待った!」
「へっ?」
私と康治は同時に声のする方を振り向いた。
莉子が男と向き合っている。
・・・あっ!
すぐに分かった。姿形は全く違うがあれは康治だ。
ん・・・んんんっ!
あれはっ!あの体勢は!
告白ではないかっ!
いかん、いかんぞっ!
遥か世界そして時を超え、異世界(地球、日本)まで来たのだ!
今度こそ、アタシは康治のお嫁さんになるっ!
アタシは無意識に2人へ走り出していた。
「ちょっと待った!」
振り返る2人にアタシは矢継ぎ早に言う。
「アタシもあなたが好きだっ!」
「へっ?」
えーっと、俺の大事な一世一代の告白の瞬間に、金髪美少女の横槍が入ったんですけど・・・。
ちょっと近い、顔をぐいぐい近づけて、揺るぎない真っすぐな瞳でこっちを見てるんですけど・・・。
・・・ああそういや、魔法少女・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
作者の審議入りました。今回は魔法少女の伏線はナシということで・・・。
なんやねん、俺の脳内どうなっとる!
・・・・・・。
・・・・・・。
ダラダラと汗がでるぞっ!
おいおい、莉子さんと金髪美少女が、穴あくほどの眼差しでこっち見てる。
・・・・・・。
・・・・・・。
「あ、あの・・・またっ!」
俺はそう言うと、明日に向かって駆けだした。
というか、逃げた。
こうじはにげだした。