№15 華も嵐も踏み越えて~騎馬戦~
騎馬戦、今やってるのかなあ。
いよいよ体育祭も最終種目騎馬戦となる。
展開?そんなの関係ねぇ、はいっ!おっぱい大スキー・・・こほん。
イマドキ騎馬戦なんて、危なくて親が黙ってないよ、やってる訳ないじゃんって・・・いんじゃないっ!・・・・・・拙者、おじさんですから~ナウな現代社会、斬りっ!
男子の騎馬戦は白組の勝利となった。
いかんせん、赤組のメンツは康治をはじめとして、インドアに特化した者が多かった。
そんな中、マッチョ圭に期待されたが、康治を騎手として彼は騎馬になった為、興奮した彼はゴルシ(ゴールドシップ)のようにヒヒーンと大暴れ、戦いに赴く前に騎馬は崩れ倒れてしまった。
モブ白組の勝利で赤70点、白75点と、赤組は僅かなリードを許し、最終の女子騎馬戦へと勝敗の行方は委ねられた。
騎手の莉子はぎゅっと赤い鉢巻きを結び直す。
騎馬の正面にシャロット、左にホラン、右に絵里(無理言って懇願し参加)が位置する。
「ちょっと、莉子姉ぇ、シャロ姉様と上、変わりなさいよっ!」
絵里が口を尖らせて言う。
「何言ってんのよ。どうせアンタ、シャロットの太腿が目当てでしょ」
姉は切り返す。
「なっ、失敬な」
「いいから、集中だ」
「です」
シャロットはそう言うと腰をおろし片膝を地面につける。
頷いたホランもそれに倣う。
「・・・はい」
絵里もしゃがんだ。
3人は手を絡ませ馬となる。
「よしっ!勝つわよ!」
莉子は騎乗の人となる。
「あっ、おマタがくすぐったい!」
思わず本音がこぼれる。
「すぐに忘れる」
シャロットは言い捨てた。
「しっかりしなさい。莉子姉ぇ、お姉様の代わりに死ぬ気でやりなさいよ」
「こんのガキゃあー」
「まあまあ」
なだめるホラン。
「んじゃ、開始よん」
留美校長がマイクで叫ぶ。
「いくぞ!」
シャロットが気合を入れ叫ぶ。
「はい!」
ホランと絵里が呼応し騎馬が立ちあがる。
「きゃはははっ、太ももがくすぐったい~」
騎上で身をよじる莉子。
「あねっ!真面目にやれっ!」
絵里の怒号が響く。
女子の歓声、悲鳴が校庭に響き渡る。
「実にええ」
康治は何度も頷いた。
(だけど・・・二次元には・・・いや、こっちもなかなか)
鼻の下がすっかり伸びている。
「せーのっ!ハリケーン・〇キサーっ!」
シャロットはその強靭な身体で、相手の左騎馬の肩を狙い、ショルダータックルをあてる。
面白いようにモブ白組の騎馬たちは倒れていく。
「ちょっ、シャロット。私、相手の鉢巻きとってないんですけど」
「先手必勝!」
シャロットの耳に莉子の声は届いていない、完全に彼女は瞳孔ガン開きのチャック・ウィルソン状態になっていた。
ついに白組の騎馬は一騎となった。
しかし最後の一騎は、白組部活のトップアスリートを集めた最強の騎馬兵だった。
「くらえっ!」
チャック・シャロットは体当たりをする。
前衛の騎馬は女子柔道部の主将。
「ふんぬっ!」
逆にはじき返され、よろめく莉子騎馬たち。
「なにぃ!」
「なめるんじゃないわよ!」
主将は猪突猛進を仕掛ける。
シャロットは胸を張り、両者は激突する・・・激突する胸と胸・・・おっぱい×おっぱい。
舞台は騎乗の騎手戦へとうつる。
莉子VSアームレスリング主将。
主将は両手を大きく広げ誘いをかける。
莉子はうかつにも両手を組んでしまう。
「ふんぬぬぬっ!」
「いったーいっ!」
エビぞりに追い込まれてしまう。
「もろたでっ!」
主将は勝利を確信する。
「させないっ!」
その時、左右の騎馬、ホランと絵里が飛びあがる。
まさに馬が後ろ脚を蹴りあげた状態だ。
「きゃあああっ!」
莉子は相手の馬の上で一回転する。
驚く主将の右手を振りほどき、莉子はぐっと手を伸ばし鉢巻きを奪い取った。
左手を握りしめていた主将は馬の外にほおりだされ、宙ぶらりん状態となる。
「・・・くっ!」
「やった!」
「勝負ありっ!」
騎馬戦の勝利と共に、白組の勝利も確定した。
「よしっ!」
莉子は騎馬3人の元に駆けつけハイタッチをする。
「ええ、青春や」
と絵馬。
「ほんに」
と圭。
康治はぐっと拳を固めると頷いた。
次回、GWでデート。