№14 応援合戦
あったな~。
沖福体育祭は学年クラス別に赤組と白組に別れている。
各クラスから数名が応援団に選ばれ、応援合戦に出場する。
紅組で康治達のクラスからは莉子とシャロットの鏑木コンビが選ばれた。
大勢の男子生徒に混じり、紅一点の彼女らは特に目を引く。
彼女たちは、胸にサラシを巻いて、その上から長ランを羽織り、ズボン、裸足に頭には地面スレスレの長い鉢巻きを巻いている。
莉子のポニーテールの髪型に、鉢巻きが風によってなびく。
シャロットの金髪の髪がふわり鉢巻きと一緒に揺れている。
仮設テントの先頭に陣取り、ガン見するのは絵里。
康治は腕組みをして、応援合戦を見つめている。
「赤組、はじめっ!」
留美校長が開始を告げる。
赤組団長の露利田が両手を大きく広げる。
「赤組の絶対的勝利を祈願してぇっ!」
続いて莉子たち応援団が復唱する。
「赤組の絶対的勝利を祈願してぇっ!」
「それっ!」
「フレーっ!フレー!赤組っ!」
「フレっ、フレっ、赤組。フレっ、フレっ赤組!」
腰をおろし、拳を固め正拳突きをする。
「サイリウム構えっ!」
「おうっ!」
団長の言葉に、応援団はサイリウムを両手に持つ。
「赤組勝利の演武っ!」
「御意っ!」
「壱の型っ!タイガっ!」
「タイガっ!」
おのおのがサイリウムでポーズを決め、ドヤ顔をする。
それまで晴天だった空が次第に曇り、サイリウムがより輝いて見える。
ヲタ芸の舞が披露される。
「弐の型、サンダースネイクっ!」
激しいサイリウムの動きが、雷蛇を描く。
「いくぞ!皆衆っ!」
「御意っ!」
「断刀っ!黒蝶スネイクっ!イザナギアッパーっ!ファイブ・ゴッド・ドラゴンっ!アヴァロンっ!左右パンチ上下っ!青龍の紋章っ!烈心っ!ムラマサっ!アマテラスっ!アリス・レイっ!カレンデールっ!初春っ!アサナギっ!レイルカッターっ!シャーロット・エクスっ!レムリアっ!マドモアゼル・レイアっ!ヤマトノカミっ!風雅っ!瑠華っ!そしてっ!とどめのっ!」
息もつかさぬ激しいヲタ芸の連弾、サイリウムの光が弧を描き舞う。
莉子の汗は青春の輝き、シャロットしなやかな動きが、観衆を魅了する。
全員が宙を跳ぶ。
「神威っ!」
壮絶なる演武の終演。
万雷の拍手が巻き起こる。
絵里は涙を流し、康治は感動で胸が熱くなる。
莉子は肩で息をしながら汗を拭う。
シャロットは両手で両膝を持ち、心地よい疲労感をおぼえる。
2人が合うと思わず、笑顔がこぼれる。
その後、白組の応援へと移るが、赤組の圧倒的演武の前に、モブ組は開始前から、敗北を悟っていた。
その動きは心的なものもあって、緩慢でミスも目立ち、勝負ありであった。
校長は声高に宣言する。
「赤組の勝利でっす!」
応援合戦inヲタ芸。