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№12 体育祭はじまる

 体育祭・・・懐かしい。


 んで、体育祭当日。

 鏑木母から弁当を受け取り、3人は学校へと駆けだす。

「あんた、いつまで朝ご飯食べてんのよ」

 莉子は恨みがましく言う。

「あたくしは成長期なの」

 絵里は徐々に後方へと離されていく。

「丸々してるな」

 シャロットがじっと妹を見て、ストレートな物言いをした。

「いやん、お姉様」

 両手を頬にやり、顔を赤らめる絵里。

「・・・おはよう」

 前方を歩いていた康治が振り返り、おずおずと挨拶する。

「おはよう!」

 莉子とシャロットは挨拶を返す。


「俺たちも」

 と、絵馬。

「いるぜ」

 圭が続ける。

「げっ、馬鹿コンビ」

 莉子は顔をしかめる。

「お前たち遅刻するぞ」

 シャロットは、康治の手を取り加速する。

「あ」

 康治は呟く。

「行こう」

 シャロットは前を見ている。

 ふと、彼は彼女の横顔を見た。

(綺麗だ)

「あ!」

「待てっ!」

 置いていかれた連中が走り出す。

「ちょっと、待ちなさいよ~あたくしを置いてかないで~!」

 絵里は走り去るみんなに手を伸ばす。

「ん~いけずう」



「校長の挨拶っ!」

 体育教師アレクの声が校庭に響き渡る。

 朝礼台の上に妙齢の石田留美校長が立った。

 年はゆうに60を超えるというのに、見た目は20代かと見間違えるくらいのその美貌は、バーチャル童貞殺しの異名を持つ。

 右手や左手がお世話になった男子生徒は数知れずである。

 ちなみに康治もお世話になったクチである。

「みなさん、おはよう~」

 にこやかに笑みを浮かべ、留美は両手を振る。

「ラブリー、ラブリー、る・み・っ!」

 熱狂的に叫ぶ男子生徒たちもいた。

「私、今日もフェロモンでてる~?」

「でてる~!」

 男子生徒たちが叫ぶ。勿論、その中に康治もいた。

「なに?なに?」

「なんだ、なんだ」

 異様な盛りあがりに転校生のホランと、異世界転校生のシャロットは戸惑いを隠せない。

「・・・ウチの学園のアイドルグランマよ」

 莉子は遠い目をして言う。

 続けて、

「かの瞳に魅入られると、男どもは魂をヘブン(天界)持っていかれると言う・・・ここ数年前から、学園不思議の一つに数えられているわ」

「はあ」

「ほお」

 転校生二人は思わず、微妙な返しをする。

「人呼んで、永遠の女神といふ」

「はあ」

「ほお」

 彼女達は遠い目をする。


「こほん・・・では、みなさーん、体育祭おっぱじめるわよ~」

 校長はそう言うと右腕を突上げた。

「うぉーっ!」

 男子生徒は野太い声とともに、拳を突上げる。


「ふう」

 莉子は思わず脱力した。

「はあ」

「ほお」

 シャロットとホランは機械的に頷いてみせた。

 


 あれはウン十年前のこと。

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