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№9 アニメ研究会

 露利田部長現る。

 

「点呼っ!」

 ビール瓶底みたいな眼鏡がキラリと光る。

 海外SFドラマ「スター〇レック」のス〇ック顔の先輩が叫んだ。

「1!」康治。

「2!」絵馬。

「3!」圭。

「そして、私こと部長の露利田安(ろりだあん)で、よんっっっつ!」

 部長は何故かジ〇ジョ立ちをしてポーズを決めた。

 苦笑いを浮かべる3人に、

「羞恥即斬っ!決めっ!」

 と、ポーズを強要する。

 なので、彼等はそれぞれのジョ〇ョ立ちポーズを決めた。

 時間にしておよそ3分、そこにはシュールなザ・ワールドが広がっていた。


「よしっ!では、皆の衆、活動報告をよろしく頼むぞっ!」

 3人は疲れた顔で椅子に腰掛ける。

 教卓に立つ露利田は黒板に戦果と書いた。

「功刀」

「はい。俺は「魔法少女メロンたん」1~3話を総ざらいして観ました」

 康治は頬を紅潮させ言う。

「うむ。最近、話題沸騰のアニメだな。よい趣向だ」

「ありがとうございます」

「好きな台詞は」

「・・・メ・・・メロンたんが、このすいーつな地球を守るのだっ!」

「エクセレントっ!次っ!」

「僕は特撮「デンジャラス・レンジャー」の危ないシーンをガン見しました」

 圭は腕を組み、淡々と言った。

「ほう。あの深夜帯の番組、マッチョ系の男達が変身前に何故か野郎同士でイケナイ事をする放送コードギリギリのヤツか・・・アニメではないが特撮も立派なヲタ、よしっ台詞」

「やらでイカ」

「次っ!」

 部長の額に汗が滲んだ。

「ふふ、部長。俺は康治の推し「メロンたん」のキャラを男すぃーへと変換し、あらたな物語を紡ぎあげております。言うなればBL系ライトノベル「ボクのメロン」を鋭意創作中であります。是非、康治にも見てもらいたい」

 絵馬は熱い視線を彼におくる。

「・・・・・・」

 康治はそっと天井を見上げた。

「むう。お主も・・・まあいい。二次創作か、コミケで活躍しそうだな」

「はいっ!」

 部長は、3人の報告を黒板に書いていった。


「では、私だが」

 露利田はそういうと、右の手の平で黒板を叩く。

「アーカイブ萌ヲタクの私は・・・往年の名作を鑑賞した。春休み期間を利用して、完徹5日間を遂行したのだ」

 キラリ眼鏡が光る。

「まず、魔法少女の原点にして神、「魔法使いサー〇ーちゃん」「ひみつのア〇コちゃん」激押しの「ミンキー〇モ」「クリーミー〇ミ」おまけに「くりぃむレ〇ン」「とっとこハ〇太郎」

「キューティー〇ニー」「ア〇レちゃん」「妖〇伝」「マク〇ス」系に「アク〇リオン」系・・・などヲタクにまつわるエトセトラ・・・私はよりヲタの神に近づいたっ!」

 部長は自己陶酔に浸り両手を広げる。


「だが、慢心などはしないっ!真のヲタを目指しシン化するのだ」

 唖然とする3人に、露利田の眼鏡がキラリ光ると、ニヤリと笑う。

「それと皆の衆、朗報だ。2か月後、聖地で開催される祭典にでるっ!」

「あのっ!福々アニメフェスですか」

 康治は思わず立ち上がる。

「御意!」

 部長は大きく頷いた。

「まさか・・・」

「あの憧れの・・・」

 圭と絵馬は顔を見合わせる。

「沖福アニ研、聖地に立つだ」

 露利田は一同を見渡し、黒板の文字を消すと、チョークで大きくこう書いた。

「いざ、夢舞台へ!」


 夢舞台って。

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