序
光の先へ。
2人の前に光がある。
話は遡る。
康治とポラン、莉子とシャロットが転生したポラ村の空間の歪みへとやって来た。
「・・・行くのか」
康治は2人に言う。
「本当について来るの」
莉子はシャロットに念を押す。
「ああ、新しい世界で自分を試したい」
「・・・シャロット」
康治は顔を歪める。
「そんな顔をしないでくれ、康治。アタシは新しい世界で新しいことをやってみたいんだ!」
シャロットは無理矢理笑顔をつくった。
「・・・・・・」
康治は俯く。
「康治様」
ポランは呟く。
「ああ、もう!湿っぽいわね。康治!しっかりしなさいっ!あなたは、ポランを選んだんでしょう。数ある素敵乙女たちから、一人を選んだ。それって私は康治らしいと思うわよ・・・ま、悔しいけど・・・」
「・・・莉子」
「大丈夫、向うでは私がちゃんとシャロットの面倒を見るから・・・ね」
「すまない」
「謝る必要はない。胸を張れ」
シャロットは言った。
「あなたが言うかなあ。さぁ、いつまでもいると名残惜しくなるからシャロット行こう」
「ああ」
「・・・・シャロット・・・莉子」
「シャロット様・・・莉子さん」
康治とポランは二人の名を呼んだ。
「2人ともお幸せに、もし二人の仲に亀裂が入ったりしたら・・・」
「アタシ達が康治を奪いに来るぞ」
2人はそう言うと笑った。
「また会おう」
シャロットは片手をあげる。
「今度会う時は、2人の子ども見せてね」
莉子は冷やかす。
「馬鹿っ!」
「はう!」
顔を赤らめる2人。
シャロットと莉子は大きく手を振って、時空の歪みに入って現実世界へと戻った。
時空の狭間にて。
「ふう、シャロット、本当にいいの」
莉子は彼女に尋ねる。
ごくっ、ごく。
シャロットは何か飲んでいる。
「ん、なにがだ?」
「お気楽ね~」
莉子は苦笑いを見せる。
「いいに決まっている。だって、莉子たちいる世界にはもう一人の康治がいる訳だろう」
「ん?」
「ん?」
「まさか・・・」
「ああ、アタシはこっちの世界の康治をげっとする」
「駄目っ!それっ駄目っ!」
「なにがだ?こちらの世界では2人は破局しているんだろう・・・だったら問題ない」
「なくはないでしょうがっ!」
慌てふためく莉子は心の中で思う。
(ヨリ戻すのはアリでしょうが・・・)
「ん?・・・あなた何か幼く若くなってない?」
「ああ、エスメラルダ親子から若返りの薬を貰った」
「・・・なにする気?」
「康治と同じくらいまで若返り、後ろめたくなく付き合うのだ」
「はあ。年の事なんて気にしていたの?」
「多少な・・・」
「ふーん」
呆れる莉子にシャロットはにやりと笑う。
「だったら、恋敵だな」
「ちょ」
「ふふふ」
「・・・もう」
光が見えた。
見えた。