余談1.冒頭20行以内に事件を起こす
次回、文章を書く人におすすめの本。
なろうで小説を書く際に、気をつけていたことがあります。
「冒頭20行以内に事件を起こす」です。
このエッセイを読んでいただければわかるとおり、素の私はダラダラと文章を書いてしまう悪癖があります。それを矯正するためのスローガンです。
小説を投稿する際にはプレビューを開き、PC画面の20行以内で何かしら事件が起こるように文章量を調整していました。
『ループを止めるな!』に関していえば、邪竜召喚→死→「はい、やり直し」でループ、までを意識して何度か書きなおしました。
邪竜を召喚して燃えながら高笑いして死ぬ、という主人公のヤバさを最低限描写しつつ、ループにも入りたかったので、王太子とヒロインの説明は削りました。
なぜ20行なのかというと、それがだいたいPC画面でもスマホでも最初の1~2スクロールで見える範囲だからで、たぶんその20行が、読者の皆さんが一番集中して読む部分なのでは?と思うからです。
ちょっと話変わりますが、ビジネスメールでは「重要なことを先頭にまとめ、説明や補足はその後ろ」と言われるじゃないですか。以前1日に200件くらいメールを読んでいた時期があって、そうするとだいたい最初の10~20行でどのくらい自分に関係があるか、自分はどれほどの熱量でこのメールを読むべきかを判断するんですね。
膨大ななろう小説を前に、私はなんとなくその感覚を思い出しました。
そこで、最初の1~2スクロールで「この小説はたぶんこういう小説なんだろうな」と感じてもらえるのが重要なのかなと考えたのです。
私は悪役令嬢ものが好きです。
突然の婚約破棄!押し寄せる前世の記憶!または理不尽な断罪の数々!
最初から窮地、最初からクライマックスのワクワク感があります。そこからいかにして物語が展開するのか!?気になりますよね。
特にギャグテイストの作品を書くのであれば、テンポのよさ、サクサク感は外せません。それを実現するためには、冗長になりがちな語り口は封印せねばならぬのです。とりあえず冒頭だけでも。
私が冒頭20行を意識せず、このエッセイのように普段の構成・文体で書くとどうなるか。
悪役令嬢ものを書こうと思いたった私が最初に書いた婚約破棄シーンは、広間の描写→集まった人々の描写→婚約者やヒロイン役・側近たちの描写→緊迫した空気で対峙する悪役令嬢と彼ら→なぜこんなことになったかというと……みたいな流れで、婚約破棄宣言までに時間がかかっていました。
前置きが長いので、相対的に婚約破棄のインパクトが減ってしまいました。
あれー、書きたかったはずのシーンが埋もれている……というか、これだけ長々とシリアスっぽい場面書いておいて、どうギャグに持っていくんだよ。
何か違う、何か違う……とうなりながら三回書きなおし、他の方の作品を読んで「やっぱり婚約破棄宣言から始まるのが一番面白そう」と気づきました。
婚約破棄宣言をトップに据え、描写の部分はばっさり削り、それ以外は婚約破棄宣言の後にまわしました。
自分の思っていたテンポに格段に近づきました。完璧とはいかずとも、及第点です。
テンプレってしゅごい。何事にも所以がある。
それ以降、私は冒頭をがんばるようになりました。
冒頭を意識して削る利点はもう一つあります。
「冒頭であれ削ったしな」と思うと、他の部分も削りやすいのです。
私は趣味で20年ほど(断続的にではあれ)小説を書いてきました。
しかしなろうで投稿するまで、「設定したけど書かない」「書いた文章を削除する」ことはほとんどしたことがありませんでした。
思いついた設定やエピソードは全部入れていき、改稿のたびに文字数が増えるタイプです。
理由は簡単で、これまで不特定多数の読者を意識して書いたことがなかったからです。書きたいものを書き散らすだけ。あと貧乏性。だってせっかく思いついたんだし入れたいじゃないですか…。ボツにしたお話もしばらくは取っておくしね…。
そんな私が「テンポよくサクサク進む小説」を書くためには、意識改革から始めないといけなかったのです。
執筆のページで書いた、ギャグに振りきって書くときの合言葉「こまけぇことはいいんだよ!!」もそうです。
冒頭20行も、数値目標を掲げ冒頭を強制的に削ることで、その後もテンポを意識するための訓練になったと思います。
何より「削る」ことをもったいないと感じなくなりました。
削ったほうがいいものができるぞ!と考えるようになりました。
まぁテンポ重視で削りすぎて伝わりにくくなった部分もあったわけですが(白目)、そのあたりのバランスは、今後も精進してまいります。




