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99/99

99.脇役高校生はマンションに戻る

2000文字ぴったりです。

あと一話で100話です。書籍化打診ください。

 お盆明け、親戚との集まりも終えた次の日、俺はマンションに戻る支度をしていた。

 それを目ざとく見つけた美咲が話しかけてくる。


「えー、お兄ちゃんもう帰るの? もう少しのんびりしていけばいいのに!」


「もう、というかそろそろ帰らないと学校に間に合わなくなるしな。それに、こっちに持ってきてない宿題もあるから今日明日には帰らないと」


 数日間、美咲に言われたことを考えたりして過ごした。

 電車が一時間に一本の静かな田舎には、ゆっくり考えるにはもってこいの場所が沢山あった。自然も多く、空気が綺麗な場所では特に、考え事をしているだけであっという間に時間が過ぎて行った。


 もちろん、予定通り美咲に勉強を教えたりもしていたけれど。

 元々の予定より長く滞在することになったけれど、結果的に今の自分の気持ちや考え方を整理することができたと思う。


「そっかぁ……。私も終わらせてない宿題あるしそれなら仕方ないねっ!」


「俺がいるうちは受験対策だけするって言ってたしな。美咲も俺が帰らないと宿題やばいんじゃないか? 特に自由研究とか」


「三年生は自由研究も作文も任意で、やりたい人だけやればいいんだって。もちろん私はやらないけどね! お兄ちゃんもそうじゃなかったの?」


 思い出してみれば中学三年生になると確かに色々やらなくていいことが多かった気がする。

 夏休みに入る前にほとんどの生徒は部活動で県大会に行けずに引退し、受験勉強に切り替えていたはずだ。


 俺は部活関係は帰宅部だったから関係なかったけれど、美咲の言う通り夏休みの宿題はかなり楽だった。


「まぁ俺は国語の評価が気になったから読書感想文だけ書いたけどな」


「えっ!? 読書感想文って国語の評価に関係するの!?」


「いや、知らないけど、確かとりあえず成績に繋がればいいな程度の気持ちで書いたな。実際何にも選ばれなかったし評価は上がってないんじゃないか?」


「そっかー。じゃあ私は書かなくてもいいかも。そもそも書く時間ないんだけどね!」


 どや顔で言う美咲。

 いや、どや顔で言い切ることではないと思うのだが。


「とりあえず、この調子で勉強すればうちの高校くらいなら余裕だと思うよ」


「本当!?」


「うん。自慢じゃないけど一緒に勉強する人も居なかったから、俺の夏休みらへんの成績よりかなり良いし、美咲は委員会も入ってただろ? えっと、何だっけ?」


「保健委員会ね。委員長はしたくなかったから副委員長だよ」


 俺は委員会にも所属していなかったからその点でも成績表的には書きこまれることが多いだろう。

 酷いことを言うと、あの雅人ですら受かっているのだから美咲が受からないはずがない。


「とりあえずバスの時間もあるからそろそろ家を出なくちゃ」


「そっかぁ。でもすぐに会いに行くしね」


「うん? 次帰ってくるのは冬休みの予定だったんだけど」


「違う違う。私が行くんだよ!」


 次のオープンスクールの予定は……いや、確かうちは夏休みにあったあれが最後だったはずだ。

 普通の学校は秋もやってるけど、うちは確か無かったはず。

 理由は——あぁ、そういうことか。


「文化祭に来る予定なのか?」


「正解っ! 今のところ予定では行くのは私だけなんだけどね。おかーさん! お兄ちゃん帰るってー!」


 美咲がそういうと、母さんと父さんが奥からやってくる。

 見送りではない。車で駅まで乗せていってくれる話だったのだ。最初は歩いていこうかと思っていたけれど、乗せて行ってくれると言われせっかくの好意を無駄にする意味もないと考えて送って行ってもらうことにした。


「んじゃ美咲、また今度な」


「うん!」


☆★☆


 駅のロータリー付近で降ろしてもらう。


「じゃあ静哉、また冬休みに帰ってくるんだよ」


「じゃあね、父さん。定期的に連絡はするから心配しなくて大丈夫」


「次帰ってくるときは誰か連れてくることを期待してるわね」


「だからそういうのじゃ——」


「浮気はダメだからちゃんと二人の内一人にするのよ? 二人とも受け入れないのは優しさじゃなくて逃げだからダメだけど、悲しい思いさせたくないからって二人ともとか言ったらただのたらしよ」


「……」


 二人から告白されているなんてことを知っているのは美咲だけだ。

 これは後で美咲に事情を聴かなければいけないな。


「あ、美咲に聞いたんじゃないわよ?」


「……え?」


「静哉が分かりやすすぎるのよ。独り言みたいに呟いてるときもあったし、考えていることを呟くのが無意識な癖なら直した方がいいわよ」


「……直します」


 考えていることが駄々洩れだったのはさすがに恥ずかしい……。

 本当に直そう。


「見た感じ、色々自分を見つめなおしたみたいだし大丈夫そうね。でももし相談したいことがあったらいつでも連絡してちょうだい?」


「母さん……」


 やばい。

 優しさが染みてくる。


「美咲と一緒に盛り上がるから。女はいくつになっても恋バナが好きなのよ。それが息子のなんていったら大盛り上がりね!」


「母さん……」


 訂正。

 野次馬根性だった。

 

これで夏休み編は終了です。区切りいいので高評価ください!


☆☆☆☆☆を★★★★★にするだけです故!


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― 新着の感想 ―
[一言] めっちゃおもろいし更新して欲しい...
[一言] 何度も読み返しています。とても好きな作品なだけにこのまま更新されないのは非常に惜しいです 物語の多きな区切りがついたところで腰の重くなるタイミングなのはとてもよくわかるのですがいつまでも更新…
[良い点] ヒロインサイドで心中を見せてくれる点 ヒロインが多すぎない点 主人公の気持ちが割りとはっきり見える点 (後書きが面白い点) [気になる点] 特に無し [一言] 頼む……! このまま涼風ちゃ…
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