表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生のために咲く花  作者: ムラカワアオイ
9/23

姫路城

姫路だ。お城だ。姫路城。写真をテキパキと撮る。私。寿限無寿限無。大きいなぁ。姫路城。ああ、おなか減った。

「陽子」

「はい」

「陽子さん」

「何よ」

この二人、最強だ。姫路だ。お城だ。写真だ。ああ、無我夢中。

「陽子」

「はい」

「陽子さん」

「何よ」

姫路だ。お城だ。姫路城。一度、来てみたかった。姫路。師匠、頑張って、デッサンさせていただきます。なんだかんだ言って、人生、たった一度。後悔のないように生きてみたい。私は我を忘れたままにスーツケースから、画用紙と鉛筆を取り出した。姫路城をデッサン。負けちゃいないぞ。前田陽子。負けちゃいないぞ、吉本一樹。負けているのか、我聞創路。いや、負けていない、負けていない。一銭もまけへん。なんやそれ。そうだ、空を見よう。空を見てみよう。空、晴れ、夏空、太陽、雲、カラス。描いて描いて描きまくれ。入選。そうすると、白いジャージを着た、背の高い、足が不自由な、眼鏡をかけた、髪の毛が一本もない、中年男が私に近づいた。

「34だけに三枝」

「陽子、行くぞ」

「陽子さん、逃げてください」

えっ。不審者。

「陽子さん、タクシー、そこのタクシーに乗りましょう。荷物は僕と吉本さんに任せて」

「う、うん」

タクシーに乗る。

「姉ちゃん、どこまで」

「駅までお願いします」

「なんか、歩いて行ける距離やで」

「今、やばいんです」

「しゃあない。無線、女性、荷物なし、駅前」

一銭もまけへんのは、皆そうだ。駅前か。無言の運転手さん。嗚呼、なんだかなぁ。ええところまでいくんやけど、いつも、あかんねん。まぁ、そう言うな。34だけに三枝ってなんじゃ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ