表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生のために咲く花  作者: ムラカワアオイ
2/23

紆余曲折

「陽子。陽子」

「え、吉本さん」

「お前、また、てんかん、起こしたんやぞ。ええ加減に、心配を師匠にかけるな」

「てんかん、って、ここ、また、病院なんですか」

「せやせや。脳外科や」

ベッドには、『前田陽子』と記された、なんていうの、名札。私、また、てんかんか。どうすりゃいいのか。教えて、皆さん。吉本さんが、なぜ、ここにいるのだろうか。よし、わからないことは聞いてみよう。そのまえに、そうだ、そうだ。吉本さんにご不幸があって。私。

「あの」

「なんや。どうせ、オカンのことやろ。通夜も告別式も済ませた。お前、疲れてるんやろう」

「はい、疲れてます」

「なんなら、寝とけ」

「は、はい。すみません」

私は、左腕に刺さった点滴を確認。痛いよ。怖いよ。ここはどこ。あっ、白衣の天使。お医者さん。よし、わからないことは聞いてみよう。でもな、正直すぎてもダメか。私は、眠りに就いた。


「陽子さん」

「し、師匠」

「よく、事情はわかりませんが、休みなさい」

「は、はい、どうして、ここが」

「駐在さんから教えてもらいました」

「は、はい」

「そうだ、僕から陽子さんと吉本君にお願いがあるんです」

「はい、何なりと」

「陽子さんが退院したら、デッサン旅行へ、二人で、行ってほしいんです」

「え、デッサン旅行、ですか」

「はい。僕がお金の面倒はみますから安心してください」

「も、勿論」

師匠と私は、絵の話をせずに、朝までしりとりをした。私って、なんか、厄介者だなぁ。どうしよう、私。駐在さんは元気かな。でも、あいつ、仕事、辞めるんだろう。どうするんだろう、この先。太陽にほえろか。で、デッサン旅行。吉本さんと。美穂に怒られるんじゃないのかな。咄嗟の判断は辞めにして、じっくり、考えようか。吉本さん、タフだなぁ。私には焦る癖がある。治したい。ここは、笑おうか。じっくりと、にっこりと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ