詩的デッサン
時計は16時ジャスト。我聞と吉本さんを携帯で起こして、ホテル前のバス停へ。あっという間に来てくれた。
『鳥取砂丘』
と行き先が記入されたバス。戎町一丁目バス停より、バスに乗る。ほんとに癒やされるなぁ。バスに揺られて、のんびりムード。トンネルに差し掛かる、そして、トンネルを向けると鳥取砂丘だあ。砂丘会館という売店。
「陽子、お前、ソフトクリームいるか」
「はい」
「チョコでええんやろう」
「勿論ですよ」
吉本、我聞、私は、三人、ソフトクリームに食いつくのであった。ああ、幸せだ。吉本さんと我聞はお決まり、喫煙所へと走り、煙草を吸っている。美穂にも見せてあげたかったな。さて、砂丘への階段を登る。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ。
きれいだ。お天道様も味方してくれた。快晴の鳥取砂丘。海が広く、大勢の旅人たち。よし、写真を撮ろう。デッサンしよう。吉本さんもデッサンを始めた。我聞は黄昏モード。砂丘を見て微笑んでいる。私のガードマンなんでしょ。我聞は。まあいいか。砂。空。海をデッサン。丁寧に絵が走らないように。描こう。
「陽子、青の色鉛筆あるか」
「はい、ありますよ」
「借りてもええか」
「はい、これでよければ」
青春だ。三代目魚武って誰だ。まあいいか。我聞は立ち上がり、空に敬礼した。元警察官か。吉本さんと我聞がボクシングの試合をさせたら、どっちが勝つのだろうか。青春だ。ハイスクールだ。デッサンだ。焦らず焦らず。人生も絵画も恋愛も。旅も。もちろん、私も。焦らずに。




