ーありがとうー
いい旅だ。姫路シリーズは、今日で最後。私たち三人は、ガッツのお姉さんとフロントのお姉さんに、ご挨拶して、網干シティホテルを後にした。タクシーに乗り込み、眠い私たちは、姫路駅へと向かう。女流画家か。我聞がくしゃみをして、同時に起きた。
「あんた、よく、寝るね。そうか、元仕事柄ってヤツか」
「はい、自分は元警察官です。今も陽子さんのファンで力強くお守りします。ガードマンってとこですよ」
「はいはい、それってストーカーっていうんだよ。世間じゃ」
「自分は元警察官ですから、それは違います」
「はいはい。で、鳥取へスーパーはくとっていう特急で北へ向かうんだよね。姫路駅から」
「そうですよ。それにしても吉本さん、よく眠られますね」
「そうだね、吉本さん、冗句は言うけど、かなり、真面目で、みんなに気を遣う性格だから」
「うん、そうですね。もうすぐ、お父さんになられるわけだし。僕もしっかりしなくちゃ」
三人を乗せたタクシーが姫路駅前に着いた。運転手さんは、
「姉ちゃん等、画家さんなん」
「一応そうですけど」
「がんばりや。わし、ゴッホのヒマワリをなフランスまで見に行ったことがあるんよ。感動して、ほんま、泣いてもたわ。凄いで、ゴッホ」
笑顔の運転手さんは10円、まけてくれた。「楽しみや」とニコリ。ゴッホか。凄いな。師匠もゴッホのヒマワリを実際、フランスまで見に行ったことがある。運転手さんと同じように泣いたと師匠は言っておられて。感動か。そういう絵を描けるようになりたい。私の敵は私。もっと、頑張らなくちゃ。
吉本さんと我聞とスーツケースを持って、姫路駅のエスカレーターに乗る。みどりの窓口で、鳥取行きの、スーパーはくと、乗車券、特急券を買う。もう、ダメ女とは呼ばせないぞ。珍道中は北上するのであった。ありがとう姫路。




