画家達の儚い物語
書写山にむかう、バスの中。のんびり、私は、座席で眠る我聞と吉本さんの写真を撮った。いいなぁ。姫路。お好み焼き屋さんのお姉さんからは、ロープウェイから姫路の街が一望出来ると聞いた。時計の針は11時45分。32秒。
『ご乗車有難うございました。まもなく、終点、書写山、書写山です』
ふうう。着いた、着いた、吉本さんと我聞を起こし、三人は無事下車。へえ。大きなロープウェイだ。いいなぁ。私はシャッターを切る。
「姫路って癒されるよな」
「私も、そう思います」
「いいですね、姫路。僕、警察学校にいるとき、姫路で実習があったんです」
「ああ、そうなんか。我聞。お巡りさんも大変やな」
「そうでした。肉体疲労に上司との行きたくない新年会、忘年会。マルボウとやくざ、一緒ですよ」
ふうん。我聞も大変だったんだな。私はリュックサックから鉛筆と画用紙を取り出して、ロープウェイのデッサンを始めた。うん、いい感じだ。映画のロケ地。ラストサムライだよね。凄いな。書写山。ロープウェイの乗車券を購入する三人。きれいなガイドさんが、五分後に出発と優しく告げてくれた。吉本さんはお約束。美穂に電話。微笑む我聞と私。赤ちゃんか。吉本さんは、いいお父さんになるんだろうな。顔に書いてある。さて、ロープウェイに乗り込むとしよう。ベルが鳴る。ほんとだ。姫路の街が一望できる。写真写真、デッサンデッサン。師匠、元気かなぁ。ずっと、絵を描いていたい、画家の儚い物語は、始まったばかり。円教寺。お願い事をするとしようか。




