笑顔の行方
「陽子」
「陽子さん」
「何」
「飯にするぞ」
「二階にお好み焼き屋さんがあるんです。さっき、フロントで聞きました」
私達三人はエレベーターへ。二階を目指す。ああ、お腹すいた。おお、美味しそうなにおい。お好み焼き屋さんの、暖簾には『ガッツ』と印字。いいね。ガッツだ。来店。
「いらっしゃいませ。お三人様ですか」
「はい」
と答える吉本さん。とても、優しそうなお姉さんが、水を私たちに入れてくれた。クーラーも入れてくれた。そうだ、お好み焼きをデッサンしよう。バックに入れてあった、鉛筆と画用紙を取り出す。我聞は嬉しそうにお姉さんと会話。吉本さんは、美穂にメールを打っている。こんなに幸せなのに。いいことだ。すると。
「もしかして、姫路、初めてですか」
「はい、私、新幹線に乗るのも、生まれて初めてなんです」
「そうなんですね。もしかして、お城へ行かれましたか」
「はい、大きく素敵でした。凄い」
「もしかして、ハゲの不審者はいませんでしたか」
「い、いました。怖かったですよ」
お姉さんは、アイスコーヒーまで入れてくれた。吉本さんは笑顔で、赤ちゃんは順調や、と何度も繰り返し、幸福者。我聞は、汗だくになって、お好み焼きを食べている。私も、いただくとしよう。
「いただきまーす」
ほ、本当に美味い、美味しい。うわ、こんなに美味しいお好み焼き、人生で初めてだ。
「めちゃ、美味いですよ」
吉本さんはお姉さんと嬉しそうに言葉を交わす。お姉さんはお辞儀までしてくれて、
「ありがとうございます」
と。笑顔。ほんと、美味しい。マヨネーズもかけてみた。こんなに美味しいお好み焼き。最高、網干シティホテル、ガッツ、お好み焼き。




