Raven's Shit
―日時・場所不明 “レイヴン・シックス”
倒れ込むソレをレーザーサイトで追従し、2度引き金を絞る。ばしん、ばしんと叩きつけるような音といっしょに飛び出てきたふたつの鉛が、胸と首根っこのあたりに穴を穿ったせいで、ソレは単なるモノへと変わり果ててしまった。
お作法通りに掃討完了の旨を発してみるけれど、返事をくれたのはカラカラと転がる5.56mmの空薬莢だけで、それもやがて床の隙間からのぞく暗闇へ落っこちてからは、何も言わなくなってしまった。
重たい頭をゆっくりと振って、自分が作り上げた壊れた肉ダルマ達に緑色の視界を巡らせる。僕には彼らが必要だった。せっかく出会えたと思ったのに、彼らは僕を歓迎してくれなかったから、こうしてお別れの挨拶をしなければいけなかった。
「ねえ」
ぽつりと呼びかけてみたけれど、誰も返事をくれなかった。みんな僕を置いてどこに行ってしまったの。
僕は、世界でひとりぼっちになった。
*
―2018年12月17日 アルファ近接戦闘センター “マーティン・マクニール”
「レディ」
ベニヤ合板のドアの隣の壁に張りついたマーティンは、チームメイトに突入準備の完了を告げる。
彼がハイレディ・ポジションで保持しているライフルはM4A1カービン―SOPMOD CQB-R BLOCK2と区別されて呼ばれることもある、SOPMODアクセサリーで改修された特殊部隊向けのライフルだ。※SOPMODとはSpecial Operations Peculiar Modification (特殊作戦専用改修)の略で、USSOCOM隷下の特殊部隊員向けに、任務に応じてライフルのアクセサリーを選択できるようにする改修計画のことである。
彼はこのSOPMODカービンをベースにいくつかの私物を取り入れている。まずストックはB5 SystemsのSOPMOD Bravo Milspec Stock(BK) に換装した。支給される伝統的なクレーン・ストックに比べて一回りコンパクトなこのストックは、屋内や市街地へのDA任務を頻繁に行うマーティンに適したものだった。また、B5 Bravoに付いているQDスイベルマウントを利用し、そこにBlue Force GearのVickers Padded Sling (CB)をQDアタッチしている。エンドプレートは特に変更していない。
レシーバー部は、ピストルグリップをマグプルのMOE K2(BK)に換装。ラバー材質や垂直に近い角度のおかげでホールド感が素晴らしく、より近接戦闘に特化したものになっている。セレクターはコルトのアンビ仕様のものがついており、KNS製のアンチローテーションピンを追加で取り付け、ピン類の脱落防止を図っている。リアのBUISにはKAC Micro 300m(BK)を採用。EOtech EXPS3ホログラフィックサイト(TAN)をダストカバー上部の位置で固定している。
ハンドガードはBLOCK2キットの要であるDaniel Defense RIS2の9.5インチ(FDE)、トップレイルにEOtech ATPIAL AN/PEQ-15(LA5) (Tan)、右サイドレイルにInsight WMX200フラッシュライト(FDE)、そしてこの2つをATPIAL/Weapon Light Dual Switch - L3 - Insight Dual Button Remote (FDE) に接続。このリモートスイッチを左サイドレイルに配置することで、点灯操作を容易にしている。また、その前方に取り付けているGear SectorのQDスリングスイベルに先述のVickers Padded Sling(CB)の片端を接続、2ポイントで運用している。フロントBUISはKACのRAS Front Folding Sight(BK)を使用。Tangodownのバーティカルフォアグリップ(FDE)を付け、マグプルのボーンレイルカバー(FDE)をサポートハンドが触れる箇所に配置。これらもまた、狭い屋内でライフルを振り回すことを考えたセットアップだ。
CQB-Rたる所以である10.3インチのショートバレルの先端に、Surefire FH4Pフラッシュハイダー。同社のSF3Pが三叉型なのに対して、こちらは四叉になっているものだ。このフラッシュハイダーの上から、Surefire製のSOCOM 556-RCサプレッサー(FDE)を装着している。
以上がマーティンが使用するライフルのセットアップだ。かっけえな