1/1
1
もう朝とも昼ともつかない時刻、由梨は目をさました。
ぼーっとしながら紅茶を入れ、着替えもそこそこにテレビを点けた。どこかのイベントが映っている。
なんだか見慣れた風景。うっ、と由梨は頭を抑えた。
生まれ育った地元の風景。楽しかった思い出が一気に駆け巡り、気付けば由梨は泣いていた。久しぶりに泣いていた。
感情が出たことさえ、何ヶ月ぶりだろうか。
テレビを消すと、すぐ横に重ねた手紙が目に入った。
幼なじみや友達が気にかけてくれて定期的に送ってくれたもの。
返事は書いているのだが、自分という感情を殺して生きてきた由梨は、なんて返事していたのかはあまり覚えていなかった。
久しぶりに封筒をあける。
由梨の心はもう安堵しかなかった。