表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空のアニマ  作者: 海産キクラゲ
4/18

ハエを飼う気はさらさらない

4話目です。

深緑の木々。青い風が吹き僕と木の髪を揺らしていく。陽の光は僕の体に染み込み、馴染み、温もりを感じさせる。

空。この大きな空。雲ひとつないこの空

全てを包み込まんとするその雄大さに、僕は神々しさすら覚えた。


なんて書くとよっぽど綺麗な場所に居る感じがするけど、なんてことない。僕がいるのは普通の街みたいな風景だ。

真ん中を真っ直ぐ車道が通り、その両脇には歩道。その隣には建物。見慣れたごく普通の街だ。

ただ違うのは車道があるにも関わらず車が全く通らない事だ。通る気配すらない。

そしてなにより、空。

僕を見下ろすその色は青ではなく、白。

雲のような色をしたそれが頭上にどこまでも広がっている。


「こんにちは、試験上がりですか?」

「…え?」


今さっき出たばかりの病院、のような所をバックに頭を右往左往させていると声をかけられた。

いがぐり頭にアロハシャツ。下には黒い下着。半ズボンのジーンズをはいた、男。

はっきりと性別がわかる人物を見て、なんだか安心した。


「どうでしたか、手応えは?私は〜また犬になりそうですよ。いや、ハエかも。ハハハ」

「ハ、ハハハ……?」

「お互い次の結果発表が楽しみですな。……では」


意味のわからない会話をされ、小首をかしげる中、男は軽く会釈をして僕の横を通り過ぎて行った。

犬?ハエ?結果発表……試験??

ん?んんん?


クエスチョンマークのみが頭を満たしていく。

なんだ、僕は動物園にでも入れられたか。

気付かない内に動物園の飼育員にでもなっていたのか。だとしたらハエ担当とか残酷すぎだ。せめて蜘蛛が限度だと思う。

というか大型動物を飼育するつもりで動物園に就いたのに、昆虫館で虫の世話やらされる人ってどんな気持ちなんだろうか。

例えるならデリヘルを呼んだらオネエが来たとか、そんな感じだろうか。違う気がする。


というか今はどうでもいいんだそんなこと。


盛大な現実逃避に控えめにツッコミを入れると、僕は左手に握っている赤い花を見る。

深い緑に濃い赤。どう見ても怪しい。

しかし手がかりはこれくらいしかない。

眼鏡はこの香りを吸えと言っていた。


……吸って、みるか。


僕は鼻をすこし、その真紅の塊へと近付けた。

まだ続きます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ