skies and cloud
どうも!初めましての方は初めまして
クラゲスというものです。
初めて小説なるものを書きました。
人生初の体験なのでなかなかに見苦しかったり、拙いものとなっていますが、楽しんでいただけたら幸いです!
初心者に向かって「痛い」は禁句です!
やめろください!!
僕は雲だ。
自分が産まれた記憶もないまま何も無い空を漂い、風に吹かれ、姿形を変えさせられる。
そしていつか消えていく。
それに誰も気が付かない。誰も何も思わない。
いや、産まれた時ですら誰も何も感じない。
僕は雲だ。
歩く人々の目に映るのは決まってあの大きく、雄大な空の海だ。
その下で泳ぐ魚には目もくれない。
雨や雪、朝焼けや夕暮れ。
様々な表情を見せては人の心境を代弁したり、人の心の支えになったりするその青色の砂漠。
その上で這いずり回るネズミはただの邪魔者だ。
ああ、僕は雲だ。
「自分」を表せない僕は
雲だ。
「………なんてな。」
教室の窓から見える青く晴れ渡った空を見ながらそう思った。
別に暗い子とか、何かショックを受けたとか、そんなんじゃない。
そんなことは「まぁいっか」のひと言で全て整理できる。学生というのはそういうものだ。
詩的な言葉を思い浮かべてるとなんだか自分が小説家にでもなったかのような気分になれて、好きなだけなんだ。
自分の隠れた趣味を頭の中で回しながら、また瞳を上へと動かす。
大きなそれの端の方はもう赤く染め上がっている。
11月下旬の冷たくなった気温に雲は耐えられず、もうすっかりその姿を潜めていた。
蟻のようだ、と思った。
顔を正面に戻す。
「……で、最近駅でひったくりが流行ってるみたいだから。気を付けてね。しっかり荷物管理して。……うん、そんくらいかな。あ、細田この後残って。じゃあごうれー。」
表面ばかりの忠告をして、教師は僕らの1日の大半を締めくくる宣誓を促した。
椅子から立ち上がり、声と共に軽く頭を下げる。
これだけで生徒達は鳥かごを逃げ出した鳥のように、わらわらと行動し始めた。
「けんちゃん。帰ろうぜ。」
その中の1匹に名前を呼ばれた僕は、軽くうなずき、声の主について行った。
彼とはこの学校に入って2年の仲だ。
短いようで長い。でも人との仲はそんなものだ。
道中の廊下で彼はよく冗談を言い、たまらず僕が笑うと僕よりも嬉しそうに彼も笑った。
階段を降り、下駄箱前。
振り返るとすっかり沈みかけている太陽に照らされた階段は、赤く光り、寂しそうに。また明日会うことを期待するように僕らを見送った。
靴を履き、校舎を出て、校門をくぐる。
「そいえばさ、今日やばかったよな、体育」
「あー…近藤?」
「そうそう。まさかあいつにあんな特技が…。」
今日の出来事を話しながら歩く。
駅への1本道を並びながら歩く。
見慣れたコンクリートの道、家の塀、そこから漂う夕飯の匂い。今日はここは焼き魚だ。
焼き魚といえば……。
「焼き魚といえばさ」
僕が口を開く前に彼が言葉を放つ。
僕が言おうとしてたことをそのままに。
特に今言わなくてもいい事を、さも大事そうに言う。
学生というのは、友達というのは、こういうものだ。
会話が途切れたタイミングで、ふと、空を見上げる。
空は赤く染まり、端の方はもう暗くなっている。
そこに1つ、雲がいた。
小さく、小さく、北風に身を震わせながら漂うそれを見守る、赤い空。
僕はそれを見て思うのは、夕日の沈む海辺でも夜の砂漠でもなく。
赤い、赤い、「血」を連想した。